前回のあらすじ!
カヲルです。新しいバイクを手に入れたら、嬉しくって寒い朝だって出掛けちゃう。でも気をつけて。忘れちゃいけないのが任意保険の加入と、神社へ交通安全の祈願に行くこと。もち近所の神社だっていいけれど、どうせならオートバイ神社の方がイイ感じ。山ばかりの長野県の山の中の筑北村という山村のさらに山の中、もう山のマトリョーシカみたいな場所にオートバイ神社があるっていうんだから、これは気合い入れて走らなくちゃって話!
「『雨風に 打たれど止まぬ バイク旅』ほ~なかなか良い句ですね。これはアララギ派かしら」
「たぶん違うと思うよ、カヲルくん」
▲筑北村『修那羅山安宮神社』ことオートバイ神社
「しかし参りましたね、荒川さん。まさかオートバイ神社へ向かう途中の道路に、改修工事による車両通行止区間があって」
「肝心のバイクを途中で降りて、神社まで歩いて行くハメになるとは思ってもいませんでした。せっかく荒川さんが新車で購入した、CC110の交通祈願をしようと思ってたのに…プンプン!」
「いいよいいよ、トラブルもツーリングのいい思い出さ」
▲全面通行止といいながら先の段差を注意するツンデレ標識
「え~っと…神社まで約1キロ…歩いて15分…やだなぁ」
「15分なんてすぐだよ。さあ、頑張って歩こう」
「違うんですよ。歩くのがイヤだって訳じゃないんです」
「ある日森の中、クマさんに出会うのがイヤなんです!」
「今年は全国的に木の実が不作で、冬眠前の飢えたクマが盛んに出没していると聞くからね」
「漕げ漕げ漕げよ~ボート漕げよ~♬ ランランランラン川下り~♬」
「どうしたんだい、カヲルくん?急に大声で歌をうたいだしたりなんかして」
「どうしたって荒川さん、クマ除けですよ、クマ除け」
「なるほど、クマは実は臆病なので、音を立てていれば近寄って来ないそうだからね。ああ、また元気にうたい始めて…どこかの国の童謡なのかい、その歌は?」
「ハリーの映画の中で子ども達がうたっていた歌ですよ」
「ハリーポッターで?そんな歌あったかなぁ。何作目だろう」
「『ダーティハリー』で連続殺人犯のスコルピオが、スクールバスジャックをした際に乗っていた子ども達に無理やりうたわせた歌ですけど」
「できれば違う歌をうたってくれないかな」
▲咳をしても二人
「木の鳥居を潜って、さあ御社はこの森を抜けた場所にありますよ。ここからは未舗装路を、落ち葉を踏み分けて進むことになりますから。サクサク…」
「う~ん、山中に人影なし。確かにクマの出没を心配する気持ちはわかるね」
「漕げ漕げ漕げよ~ボート漕げよ~♬」
「その歌はいいから、その歌は」
「そうですか?残念だな~」
▲車馬二輪ヲ乗入ルコト禁止
「見えてきました、あれがオートバイ神社です。サクサク…」
「すごい所にあるねぇ。オートバイはオートバイでも、オフ車専用の神社なのかな」
「あ、荒川さん気をつけて。参道の真ん中は神様が通る道なので、歩いては行けないそうですよ」
「そうみたいだね」
「キープレフト参拝を意識してください」
「キープレフト走行は知ってるけど、そんな参拝方法があるとは」
「ありがたやありがたや…どうか荒川さんのCC110が無事故無違反無立ちゴケで過ごすことが出来ますように…ナンマンダブナンマンダブ」
「ナンマンダブは違うかな」
「高速道路の覆面にも気をつけて…」
「乗れないから、高速。安心して」
▲御守お札は売っているがウインドーショッピング状態
「神主さんとか巫女さんとか、誰もいませんね」
「神社にお休みとかあるのかな?」
「オートバイ神社というくらいですから、もうシーズンオフに向かって御神体のバッテリーやガソリンを抜いて冬ごもりの準備を…」
「どんな御神体なんだい、ここの神社は」
「参拝は出来たけど、なにか物足りませんねぇ…。こうなったら単車神社へもお参りに行きましょう!」
「単車神社?」
「この近くにあるんですよ」
「ほう、近くに」
「山を二つほど越した所にですね」
「近くじゃないねぇ」
次回
単車神社へお参りに行こう。お楽しみに~。