寒いー‼
信州の寒さは2月が本番!
まだまだバイクは乗れないなぁ…
なんて思っていましたら、図らずもバイクが服着て歩いてる "バイクパイセン" こと荒川さんから呼び出しがありまして…
「荒川さん、ご無沙汰しております」
「昨日あってるよね。僕の駐車場で。カヲルくんがファミチキ食べながら通りかかって」
「この度はお誘いをいただき、誠にありがとうございます」
「いや、カヲルくんがご飯に連れて行って貰いたいって、昨日」
「私が行きたいお店、よく分かりましたねぇ」
「いやいや、カヲルくんが『豊龍』のラーメンを食べたいって…まあいいか」
「ここの『コッテリ中華そば(背脂入)』は、いつ食べてもハッ!とするほど美味しいですよね」
「同感だね。親知らずを抜いた翌日も、つい食べてしまった事があるよ」
「ズルズル…どうです。最近バイクに乗りました?」
「ズルズル…先週末に乗ったよ。時間があったので。散髪へ行くのに」
「う~ん…感動しました…ズルズル…この極寒のなかバイクに乗るという事より、せっかく髪を切ってセットしたのに直後ヘルメットを被るという破天荒さに…ズルズル」
「隙あらば乗りたいじゃない、ズルズル…バイク」
「荒川さんとバイクに乗ったのは、もう半年前ですかねぇ。人気店のお蕎麦を一緒に食べに行った」
「自動販売機だったけどね。確かに人気店だったけれども」
・戸隠神社奥社入口駐輪場300円
「あの時は荒川さんが奥様のFTRで。私がXRで」
「そうそう、カヲルくんが半袖で現れたから、慌てて長袖を着せたんだったね」
「バイクに乗る際の装備には、ホントにうるさ…厳格ですよねぇ」
「カヲルくんの足元を見たらコンバースのハイカットだったので、まぁギリギリセーフとしたけれど、バイクに乗るなら足のプロテクションだってしっかりしなきゃ駄目だよ」
「でも『戸隠神社奥社』の参道を、ライディングブーツで歩くの大変じゃなかったです?」
「先に知らせて欲しかったねぇ…片道2キロの未舗装路を歩くって…」
・奥社参道片道40分
「でも、バイク事故を経験したら装備への意識は高くなりますよね。荒川さんも数年前、対向車が無理な右折したので避けきれず、テールに接触して転倒事故をされましたもんね」
「あれは止まれなかったねぇ。車を運転していたのは高齢の女性だったけれど、まァお互いに気をつけなくてはね。対向のバイクは遠く小さく見えるなんていうから」
「カブにでも見えたのかな…」
「そうそう、CB750は大きなカブってよく…ってコラコラ」
「750といえば、私もゼファー750に乗っていた時に転倒した事がありまして」
「鎖骨を折った時の?」
「あれは1100EVOの時です」
「色々やってるねえ」
「11月にパンクをしたのですが、自分でタイヤを組み替えていたので『どうせ冬になれば乗らないから』って、繋ぎのつもりでオークションで落とした数千円の中古タイヤに交換しまして」
「シーズンインの春になったら、新品タイヤを巻けばいいと思ったんだ」
「そうなんです、ケチってしまったんですよね。ダンロップのタイヤでしたが、スリップサインぎりぎりの、経年で少し硬くなったような感じのモノで」
「怖いなぁ」
「さっそく友人たちとツーリングに出掛け、コンビニで休憩していると秋の日は釣瓶落とし、あっという間に日が落ちて、吐く息が白くなるくらい寒い。私、急に背中がゾクゾク~っとしてきましてねぇ…変だなぁ…」
「ん?」
「友人たちのバイクは一発始動するんですがね、私のゼファーはイグニッションしても一向にかからない。まるで出発するのを嫌がっているみたいなんですよねぇ…このバイク。変だなぁ…おかしいなぁ…」
「…あのカヲルくん」
「ゼファーはキャブ車ですからね、チョークを引いてやっとこ始動させてはみたものの、4発エンジンのくせにアイドリングの不安定さってそりゃァない。おかしいなぁ…安定しないなぁ…あ、ゼファーはいつもの事だったっけなぁ…」
「なんで急に稲川淳二風?」
「それでですね、私が先頭で出発しまして交差点に進入し、右折するといつも以上にバイクが寝るので『今日めちゃバンクするじゃん』なんて思っていたらみるみる地面が近づいてきて」
「あぁ」
「フルバンクしてしまって」
「転倒ね」
「路面も少し凍結してたのか、装着していたモリワキスキッドパッドの効能か、落車した私を残し車体がそのまま道路を滑り、先に行ってしまうのを地面に転がりながら見送るしかなかったのでした…」
「転倒したら車体から離れろとはいうけれど」
「しばらく友人たちから『ダンロップは先に行く』と言われてましたっけ」
「友人たちに座布団持ってきて」
・500mにわたる300本以上の杉並木
「しかし荒川さん、奥社の参道は素晴らしかったですよねー」
「まったく、杉の巨木が続く並木道には圧倒されたよ」
「森の中の空気感が違いましたよね。ちょっと怖かったですもん」
「気軽に入っていける場所ではないよね。人が住む場所との境界線を越えて神域に近づいていくような…」
「ゲゲゲの森を抜けて鬼太郎の家に行くような…」
「ゲゲゲ?なんだか判らないけど…そうなの?」
「アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』3期のエンディングを吉幾三さんが歌っていましたが、あれも怖かった…『おばけがイクゾ~』なんて曲でしてね」
「ふ~ん、そうなんだ」
「♬ この町で暮らそ~」
「ほぉ…ちょっと明るめの曲調だね」
「♬ みんな住む町で~」
「なるほど…吉幾三が鬼太郎の歌をねぇ」
「行こうみんなでワークマン」
「ワークマンて言ってるよね」
・その祈りプライスレス
「終盤の坂と階段は、けっこう息が上がりましたよね」
「日々の運動不足を思い知らされたよ」
「天岩戸の一部と云われている『戸隠山』全体が御神体という、スケールの大きさに感動しました」
「日本有数のパワースポットは伊達じゃないね」
「なんたって見渡す限り神域ですからね」
「自然崇拝がなんなのか、感覚で教えて貰える貴重な体験だったよ」
「他の参拝者も割といらっしゃって、みなさん何をお参りしてたのかな…健康祈願とか」
「あの道を歩けたら十分健康だよ」