「ねぇ、ブルーピィーター。ここは一体どこなの?」
「カヲルお姉さん、ここはね」
「新潟県上越市の『佐渡汽船直江津港カーフェリー乗り場』だよ」
「港?フェリー?うわ~、ステキ~!優雅に船旅を楽しみたいな~」
「いいよねー、憧れの佐渡航路なんちゃってー」
「あら?でもピィーター、おかしいわよ。フェリーなんて影も形もないし、港内だって人っ子一人いないじゃない」
「ざーんねん。この時期の直江津港から佐渡の小木港までの航路は、運休期間となっているんだよー」
「そうなんだ。『カーフェリーこがね丸』っていうのが、運休明けの4月29日に就航するってわけね。私も乗りたいな~」
「ちょうどゴールデンウィークの人出もあって、その頃のターミナルは賑やかだろうね。フェリーだって、大勢のお客で混むんだろうなー」
「スゴイな~。きっと『宇宙戦争』のフェリーのシーンみたいに、すっごく活気があるんだろうね~」
「あれは活気っていうレベルじゃないかなー」
「だけど、ピィーター。佐渡は大きな島だけど、一体なにが有名なのかしら?」
「島は自然豊かで風光明媚、海産物も美味しいけれど、なんたって『佐渡金山』かな」
「ふ~ん金山。島で金が採れるってワケね」
「佐渡は金の大生産地で、17世紀初めには世界の金生産量の約1割を産出していたそうなんだ。そしてその金は、なんと江戸時代の技術で純度99%超という『弘中綾香の純度100%』に次ぐ高純度で精錬されていたというんだから、スゴいよねー」
「そうなんだ~。へ~…」
「金か…」
「あの海の向こうに大量の金が…」
「あれれ?やだなぁ、カヲルお姉さんてば。島に渡れば金が簡単に手に入るなんて思ってたりしてー。クフフ」
「そんなワケないでしょ!ピィーターったら。も~。メッ!アハハハ」
「アハハハ」
「ウフフ」
「ラララ~♬」
「金か…」
「カヲルお姉さん…その…佐渡金山ってもう閉山してて」
「わかってるわよ!ピィーターったら。冗談冗談。も~。アハハ」
「ハハハ」
「欲かいたらお腹空いちゃった」
「欲かいてたんだね」
「さて、もう一度カーフェリー乗り場に、ただいま~っと!…あら?ねえピィーター、あれは食堂じゃない?」
「その通り。館内で営業中の『佐渡汽船 直江津ターミナル食堂』だよ」
「うわ~!見て見て、メニュー表には美味しそうな食べ物がズラリ。これを見たら、ジッとなんてしていられないんだから」
「ボクだってそうだいっ。カヲルお姉さんは、何を頼むの?」
「迷った時は、メニューの左上で決まり!」
「ここはラーメンだね!」
「この雰囲気、最高~。早朝深夜のSAやPA特有の、日常と非日常の境界線上のアリアをビンビンに感じちゃう。ピィーター、早く入りましょうよ」
「了解!ラーメンを求めて『佐渡汽船 直江津ターミナル食堂』店内へレッツゴー!」
「そうこなくっちゃ!!」
「それーい!せーの」
『グルグルスポンチョペペロンチーノ パヤパヤパクンチョの ピィーター‼』
ウンウンウンウン…
(空調の音)
グツグツグツグツ…
(調理器具の音)
「シ~…あんまりはしゃいじゃダメよ、ピィーター…」
「カヲルお姉さんこそ…あ、食券で頼んだラーメンがきたよ」
「これは美味しそう~!」
「オーダーから出てくるまで、またメチャ早かったねー」
「じゃあ、まずはスープからいただくとしようかしら。ズルズル…‼ こ…これは」
「…」
「…」
「海、メチャ感じるんですけど~‼」
「本当だ。しっかり魚介のお出汁が効いていて、このスープはすっごく美味しいぞ」
「でしょ~?正直、麺や具は可もなく不可もなくフツーなんだけど、このスープときたら…これが…ズルズル」
「…」
「やっぱ日本海っていいな~‼」
「あの、カヲルお姉さん」
「わ~波が~」
「ラーメン食べてるんだよね、今」
「ズルズル…あの厨房のうら若き女性が、この美味しい魚介系スープを作りはじめたのかしら?」
「どうかなあ」
「モグモグ…ねえピィーター、とりあえずお礼を言っとこうよ。せーの」
『美味しい魚介系スープありがとうございました~!』
「あと、なんだか日本海にも」
『海の幸ありがとうございました~!』