「でね荒川さん、冬眠中に外していたバッテリーをXRに付けたんですけど」
「いきなりだね、カヲルくん」
「ほら、暖かくなってきたじゃないですか、やっと」
「嬉しいよね、今年の長野はまた寒かったから」
「おかげさまでバッテリーはビンビンだったのですが、実はこの時点で問題が発生しておりまして」
「いったい何が起きたんだい?」
「バッテリー脱着時にサイドカバーを外すのですが、これがケチのつけはじめ」
「難しい作業ではなさそうだけど」
「作業自体はしごく簡単なのですが、外す3ヵ所のボルトのうち1ヶ所だけ、樹脂製のプッシュリベットなんです」
「プッシュ…ああ、中でリベットの先が開いて、返しになるヤツだ」
「そのリベットをグイグイ引っ張っていたら、頭をパキッと割っちゃいましてですね」
「それはムチャしたね」
「仕方ないから、ネットで新しいリベットを注文して」
「便利な世の中だ」
「そしたら孫の代になったって使い切れない量のプッシュリベットが家に届いちゃって、私もうビックリ仰天」
「ハハハ、ちゃんと数量確認しないから」
「ま、お金に困ることはないからイイんですけど…」
「ん?」
・"日本三大そば" のそば処
「また今年もツーリングに行きたいですね~」
「戸隠ツーリングは実に楽しかったよ」
「有名な『戸隠そば』美味しかったなぁ」
「美味いそば屋が一堂に会する、そば大渋滞エリアだからね、あそこは」
「そんなそばの老舗名店人気店、古豪強豪剛の者ぞろいの中、『戸隠神社宝光社』近くの『よつかど』に寄りましたっけ」
「ここも有名店だけど、朝の9時30分に行ったから空いていて良かった」
「『戸隠そば』は "日本三大そば" の一つと云われてますね」
「そうそう、岩手『わんこそば』島根『出雲そば』長野『戸隠そば』」
「お、"日本三名泉" 『有馬温泉』『草津温泉』『下呂温泉』」
「じゃあ "幕末三舟" の『海舟』『鉄舟』『舟和』!」
「芋ようかんのお店だね、舟和は」
「戸隠そば伝統の "ぼっち盛り" の様式美と食べやすさは、本当にエクセレント」
「薬味に使われいる戸隠大根のピリッとした辛みも素晴らしいね」
「蕎麦湯もトロトロで大満足でした」
「毎日だって食べたいくらいだよ、ハハハ、それは贅沢ってものか」
「平気です平気です、なにしろもうお金に困ることはないし…」
「んん?」
・霊験あらたかな日本有数のパワースポット
「戸隠に行ったら、絶対に『そばの香ソフトクリーム』を食べるべきなんです!」
「ずーっと言ってるね、『山口屋』はガチで美味いって」
「ここではそばソフトしか食べたことないですけど」
「たまには手打ちそばも食べてみて」
「おそばの香りが、マジでスゴイですからね。そばを食べてたか、ソフトクリームを食べてたか判らなくなるから不安に…」
「確実にソフトクリームを食べてたから安心して。いや、でもホントに美味しかった。あれは2個は食べれるよ」
「私は3個だって4個だっていけますよ。なんたってもうお金には困らないし…」
「あの…カヲルくん、さっきからお金がどうとか言ってるけど…いったい」
「実はあの日、『戸隠神社中社』にもお参りしたじゃないですか」
「神社巡りの楽しさも、戸隠の醍醐味だからね」
「そこで手に入れてたんですよ…」
「なんで急に小声なんだい?」
「私、この先ずーっとお金に困らないことが、もう確定しちゃってるんです。ええ、もうホント、ホホホ、あしからず」
「自信満々だけど、いったい何を…」
「じゃーん‼ 『金運招福』待ったなし。やったー!」
「神様だって背負いきれないと思うんだ」