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ドカッとドコ行こう

略して ドカドコ!

【ガソリン漏れ】モトコンポ 燃料コック交換

 

「ああっ⁉ な、なんでえ、こりゃあ!」

「こ、こいつァいったい…」

 

「大変だ大変だァ!! ご隠居ーっ!」

「騒々しいな。あァ、なんだい、カヲルじゃないか。盛大にガソリンの臭いプンプンさせて、どうした?」

「誰がアラブの石油王ですって?」

「言ってないよ、誰も。カブラ蒸しみたいな顔しやがって」

inakakaoru.hatenablog.com

「ご隠居ォ、まずはお茶ァ一杯いただけますか…えェ…駆けつけ三杯」

「三杯も飲んでるのジッと見てられるかよ。そこの急須に入ってるのを飲みな」

「あァ、ありがてえ…もうノドがカラカラで…えェ、ゴクゴク…フ~。いえね、ご隠居ほかでもねぇ、あっしのモトコンポなんですがね、この頃ガソリンが漏れるようなりましてね、ええ、そいつがきまって燃料コックをONに捻った時なんでさぁ」

「ほ~、燃料コックがONの時ねぇ」

「ONってなあ日本語で『漏らす』って意味なんですかねェ…」

「そんなワケねえだろうよ」

「まァ残念だがな、カヲルよ。日本開闢以来ガソリン漏れはモトコンポの持病と、もれなく相場は決まってるな」

「もれなく…漏れてるのに」

「うるさいね、お前は」

「これ持病ですかい、ご隠居。するってェと、いわゆるお医者様でも草津の湯でも…」

「恋の病じゃねえぞ」

「なんだな、ここはひとつ、モトコンポのカウルを外してみなよ」

「へいっ。それでは内側からツメを押し込んでダンパーを外して…ボルト3本を抜いてカウルを外して…」

「フーン、古い車体のワリには中々状態がイイな」

「たしか40年くらい前に売ってたバイクと聞いてますが…そんな昔ァこちとら生まれてもいませんからね、まったく途方もねえ話で…進駐軍がチョコやガムを配ってた時分ですかねェ」

進駐軍の "MP" は "MOTOCO・MPO" の略じゃねえぞ」

「だいたいなんだい、モトコ・ンポってなァ…こう尻の据わりが悪ィったら…」

「あのォ、ご隠居ォ、とっくにカウルは外れてますよォ。大丈夫ですかァ?なんだか一人でブツブツ言っちゃって」

「うるさいね。ああ、それじゃあ次は、コックに付いてるレバーを外すんだ」

「へい…ってあれ?引っ張っても…野郎ビクともしねえ」

「当り前だろう。レバーの裏から、固定しているRピンを抜くんだよ」

「Rピン?」

「ああ、これですかい。…よし抜けた…じゃあ次は左側にあるLピンを」

「ないよ、そんななァ。左右のLRじゃないんだから」

「よし。いいかいカヲル、今回のモトコンポのガソリン漏れは、十中八九この燃料コック内のパッキン劣化と、あたしは睨んでいる」

「あっしも睨んでいる」

「お前はいいんだよ、コックをそんなお不動さんみたいな顔で睨まなくても。でだ、モトコンポの燃料コックってのはな、ネジじゃなくリベットが使われていて、残念ながら分解して中を見ることが出来ない」

「へぇ…するってえと…」

「コック交換になるな」

「えぇぇ、全取っ替え⁉ このコックを捨てて⁉ そんな勿体ない…えェこの…SDGs!」

「お?こいつめ。難しい言葉を知っているな」

「サスティナブル!」

「おお、おお」

チンダル現象!」

「さてはよく判ってねェな。まァ、ここは万事、あたしに任せな」

「さあ、コックを外す前に、タンクからガソリンをしっかり抜くんだ」

「へいっ。じゃあ早速コックをONにして」

「漏らして抜こうとするんじゃないよ。モトコンポのタンク容量はたったの2.2リットルだが、ガソリンを地面に垂らされたら近所迷惑もいいとこだ。このチューブを使って抜くんだよ」

「あれ?ご隠居…えらくガソリン抜くのに要領がいいですねェ…こんなチューブなんか持ってて…」

「フルード交換に使ってるチューブだよ」

「え、あ、あァ…そうなんですか。へえェ…」

「それじゃァご隠居、一丁やってみますよ。いいんですかい?このチューブを使って、口でガソリンを吸って…ソ~ッと…人に見つからないように…」

「人に見つかったってイイじゃないか。口なんか使わず、そこの注射器を使いなよ。あとはサイフォンの原理でタンクに落とせばいいんだから」

「ご隠居…やっぱりガソリン抜くのに慣れてますねェ…こんな注射器まで所持してて…」

「これもフルード交換に使ってるヤツだよ」

「へえェ…ホントですかい…ご隠居、正直に仰って下さいよ。実は著名なガソリン泥棒かなんかじゃ…鼠小僧ならぬ鼠ジジイなんて」

「なんだい、鼠ジジイたあ。馬鹿だねェ、こいつは。だいたい盗むくらいなら、金を稼ぐ算段をするよ」

「よっと。外れましたぜ、コック。ご隠居ォ」

「よしよし、コックから外したホースの位置も、ちゃんと覚えておくんだぞ」

「へいっ。えーっと…1本2本…あ、ご隠居、いま何時になりますかね。3時?えェ、4本…」

「集中するんだよ、集中」

「おっ、これがまっさらの燃料コックですかい?ヨッ!待ってました!日本一!親玉!コックさん!」

「さん付けすると、別なモンになるな。さあ馬鹿言ってないで、しっかり取り付けるんだ」

「ありがとうござんす…って、あれ⁉ 新しいコックさんをよく見てみると、こいつァ…」

「リベットがネジになってる‼」

「ああ、その通りだ。よく気づいたな。どうだ、イイ感じに改造されてるだろう。これなら次にガソリンが漏れたって、コックを開けてパッキンを交換すれば事が足りる」

「でも…大丈夫ですかねェ?」

「なにがだよ」

「違法改造はご法度なんじゃ…」

「これぐらいがなんだよ」

「車検通らなかったら手が後ろに…」

「原付だろ、これ」

「改造したなら二段階右折しなくても…」

「するんだよ、原付なんだから」

「おっ、ご隠居、もう漏れねェ!漏れねェですぜ、ご隠居ォ。あァ、ありがてェありがてェ。流石ご隠居だ、漏れねェご隠居、漏れ隠居」

「あんまり漏れとあたしを混ぜるんじゃないよ」

「さあ、カヲル。走ってみな」

「へいっ。それじゃァまっぴら御免なすって」

「ズドドドドッ!バリバリバリッ!」

「そんな音がするバイクじゃないけどねぇ」

「縁起モンですから」

「なんだい縁起モンたァ」

「じゃ、ご隠居。その辺ひとっ走りしてきま~す」

「ああ、気をつけてな」