"おそば" って美味しいですよね~。
夏場の食欲がない時だって、ツルツルいけちゃう。
ビタミンだのタンパク質だのルチンだの、栄養価だって超優秀。
熱々の "おとうじそば" を、汗をカキカキ手繰るのもまた一興。
食べに行きたいな~。
「話は聞かせて貰ったよ。『一こね、二延し、三ナスビ』と言われる職人の高い技術で打たれたそばを、喉ごしで味わう瞬間は本当に日本人で良かったと…」
その声は、そのやっぱり詰めの甘い知識を披露するいつものヤツは…
"十割バイク親父" こと荒川さんじゃないすか~。
・LOVE おそば
「荒川さんも、おそばお好きなんです?」
「フフフ、僕はそばには少々うるさいよ、カヲルくん」
「待ってください。私だってチョッとうるさいんですよ。あのですね、まずおそばを食べるシチュエーションですが、開放感があれば評価は〇です」
「ほう。オープンテラスか何かかな?いいね」
「店舗は階段下とかにあれば◎です」
「ふむ。スペースの有効利用かな?まあ、狭い日本では理に適っているか」
「そして立ったままおそばを無心にすすり、最後にキューッとお冷をやっつけ楊枝くわえて日経新聞小脇に電車に乗り込み」
「駅の立ち食いそばだね、それは」
「でも立ち食いだって座ってゆっくり食べる派です、私」
「確かに時々、無性に食べたくなるよね、その手の簡易的なそばは」
「やっぱり!荒川さんも?ですよね~」
「無性に食べたくなりますよね。自動販売機の」
「ハンバーガーとか。なんだかシットリした、シナシナの」
「そばを食べたいって話だったよね…」
「も~、わかりましたわかりました。そんなに食べたいのなら、今週末に行きましょう。私の行きつけのお店に。仕方ないなぁ」
・老いてなお盛ん!
というワケで週末の早朝、長野県信濃町国道沿いにある『手打ちそば処 ふじさと』さんにやって来ました。
本日のバイクは私がXR、荒川さんは奥様から借りたFTRです。
いうまでもなく荒川さんは、トルストイと奥様についての意見で意気投合『戦争と平和と過干渉と無抵抗』という長編小説を共作できるほどの恐妻家で知られますが、ちゃんと夫に愛車を貸してくれるのですから、ホントは心優しい奥様なのです。もっともスポークの一本一本まで磨いて返すという約束とのことですが…なんだか黄色と黒のカラーリングが警告色のように見えてきちゃうから不思議です。
「さあ荒川さん、着きましたよ~、手打ちそば処ふじさと」
「の敷地内の自動販売機だね、正確には。確かに『そば』と『自販機』の話はしていたが、まさか一緒くたになってこうやって目の前に現れるとは…」
「もうココだけなんですよ、長野県内で稼働中のおそば自販機は」
「それは残念だね。設置されて少なくとも30年以上…ある意味老舗の味か。フフフ、これは楽しみだ」
「荒川さんは『天ぷらうどん』でいいです?」
「なぜこの流れで『うどん』だと思ったんだい?」
『天ぷらそば』のボタンを押し、25秒で調理完了っと。
早いな~。
アチアチ!…
「…あの…荒川さん、出来ましたのでお先にどうぞ」
「ん?いいのかい?それなら失礼して…アツツ」
「あと、大変恐縮なのですが…この後の私の分も取っていただければ…」
「心得たよ。アツツ…」
「あと、誠に恐縮なのですが…かき揚げ大きい方に替えていただければ…」
「ハハハ、好きな方をどうぞ」
割り箸も薬味も、自販機に備え付けてありますからご安心を。
「ささ、荒川さん、薬味をもう一袋どうです?どうぞ遠慮せず。先ほどのお礼をさせて…心ばかりですが…タダですけど」
「や、ありがとう。それくらい…それくらいで結構だよ」
フ~フ~…ズルズル…美味しい~!
流石はおそば屋さん直営の自販機です。
ズルズル…ハフハフ…ん?
あれは…
おそばの補充の時間だあぁぁ!
ご店主かしら。朝からお疲れ様です。
しかしスゴイ量…これだけのおそばがはけるのに、一体どれくらいの時が掛かるのか。店主、無茶しやがって…
メチャメチャ盛ってるーっ!
この空き容器の数を見てください‼ 跳ねてるな~!これならあっという間に売り切れちゃいそう。
「美味しかった~。人気店のおそばの味は、やっぱり一味違いますね。ふ~、食べた食べた」
「確かにつゆも麺も250円とは思えないクオリティだね。満足したよ。ごちそうさま」
・おそばと健康
信濃町から、おそばでも有名な戸隠はすぐそこです。
『戸隠そば』ってエグイくらい美味しいんですよ…ゴクリ…
「荒川さん、戸隠神社さんの奥社でお参りしましょうよ」
「奥社は入口から社殿まで、往復3キロくらいはあるよ。今日はライディングブーツ履いてるし…」
「家内安全にも霊験あらたかだとか」
「ぜひ行こうじゃないか」
「どんどん歩けばお腹も減りますからね」
「あ、カヲルくん、さては戸隠そばも食べる気だね。これは策士だぞ。まァお付き合いするよ。ハハハ」
今回は二人とも、とりあえず健康祈願はしなくてもよさそうです。