みんな、だんごなんか食ってる場合じゃないぞ!
ここ長野県は、「昆虫食」つまり虫をモグモグ食べてる県で有名だ。
蓼食う虫も好き好きとは言うが、そりゃあマックや吉野家を前にして、昆虫食を選ぶかといえばどうかと思うけど、虫食べているかといえば食べている。長野県住まいにとって昆虫食は日常茶飯事であり、別段ハチの巣をつついたように騒ぐコトでもないのだ。
だってほら、カントリーマアムや栗羊羹と仲良く並んで
"蜂の子" が入った『はちの子パイまんじゅう』も道の駅などで売っているし
ひと風呂浴びてイイ気分~、温泉で湯上りにソフトクリームを買えば
その辺の田んぼで元気に飛び回っていた "いなご" もトッピングしてくれる。
これが長野では当たり前の日常風景なのだ。
だから昆虫食が買える自動販売機が設置されてたって、別に驚くようなモンじゃない。
長野県に住もうと思うのなら、昆虫食を見ただけで蜘蛛の子を散らすように逃げてしまう弱虫じゃ、県歌「信濃の国」を暗唱出来るまで居残りさせられるぞ!
ふむふむ…ここの自販機ではオケラとかセミとか売ってるのか…うえ~ダイコオロギってなにさ…オーマイガッシュ…ハッ!
こ、これくらいの昆虫食では、蚊の食うほどになんとも思わないのだ!
ところがそんな昆虫食の専売特許、独占禁止法待ったなしの長野県に、「おらが村でも虫食べてるぞ!」と異を唱える県があるというではないか。
本当か?虫の形をしたグミとかじゃないのか?そんな虫のいい話だったら、こっちの腹の虫はおさまらないぞ!
これは確かめに行かなければ!
マッハ乗りでカッ飛ばし、法定速度内でやって来たのは新潟県南魚沼市の道の駅『魚野の里』。
南魚沼といえば、押しも押されもせぬ日本一の旨米コシヒカリの一大産地だ。
そんな美味いお米がタラフク食べられる土地なのに、わざわざ昆虫なんて食べる必要があるのか?こっちは伊達や酔狂で虫食べているワケじゃないんだぞ!お遊び程度の昆虫食だったら、そりゃもう虫唾が走るぜ。
ヘルメットやグローブを外すのももどかしく、猛る気持ちを抑えながら道の駅に入店だ!
ガラガラ…
お邪魔します~。わ~、店内は明るくてメチャきれい♡
特産のコシヒカリやお米の加工品以外にも、さすが新潟だけあって日本海の海の幸など美味しそうな物が、ズラリとお出迎えしてくれるじゃない。わ~♡
しかしてこんな場所に、本当に昆虫食が…ん?
「クッキーのうえにバッタが…⁉」
こ、これだ!
『あぜ道クッキー』これに違いない!
購入…いや捕獲したぞ!
今にも跳ね回りそうなバッタのイラストに恐れをなし、虫取り網を持ってこなかった事を後悔しちゃう。
パッケージだけ見ると、やってくれそうな雰囲気だけど…だが待て!バッタの形をしたクッキーだの、バッタの粉末を混ぜただの、ライトな商品という可能性も…
はい、バッタがっつり入ってる~。バッタそのまま~。
これは昆虫食の初心者からベテランまで、誰をも魅了して止まないいなごだ。
その昆虫食界の巨星がクッキーに入っている、というより上に鎮座して辺りを睥睨している状況だ。
「食は目で楽しむもの」とも言われるが、クッキー上のいなごと目があって「お前、なに中?」と通学時のバス後部座席付近で一触即発ブレイキングダウン状態だと言っても過言ではない。
んで、肝心のあぜ道クッキーの味はというと…うん、魚沼産コシヒカリの米粉を使ったサクサククッキーにヨモギの風味が蝶のように舞い、佃煮の甘じょっぱさが蜂のように刺す…"蝶" とか "蜂" とかじゃなく "いなご" だけど、これは美味し~い!
そりゃまあ、日本一の魚沼産コシヒカリを食べているイナゴなんだから、美味しいに決まってるよね。
くっ…これは優秀な昆虫食として認めざるを得ない商品だ。昆虫食大好き県として、ここは素直に仲間として迎え入れようではないか。おめでとう!新潟県!
さあこれからは、ともに昆虫をモリモリ食べる県として一緒に全国制覇の道を…ん?どした?そんな虫の好かなそうな顔して。