「歳をとってスタミナ料理を食べるとスタミナが削られる」
そんなSNSへの投稿が話題になっている、という記事をネットニュースで目にしたことがある。
加齢のせいで内臓が弱り、お肉たっぷり脂ギトギト味濃いめ、ニンニクや香辛料を効かしたパンチあるスタミナ料理を食べると、胸やけや胃もたれなど体調不良に陥り、その結果スタミナが減ってしまうというのだ。
・スタミナを守れ
せっかくスタミナ料理でスタミナをつけようとしたのに、食べたら逆にスタミナを失ってしまうなんてあんまりな話だ。
このSNS投稿者はインタビュアーに「いつまでも若いと思わず、無理をしないこと」と今後の対策を語っている。
なるほど、食事をしたら胸やけや胃もたれが待っているかもしれないのだから、リスクを避け、ダメージを最小限にするため守りに入る気持ちも解らいではない。
ラーメン屋でメニュー表を見たら、やれ脂質だ、やれ塩分だ、そこにスタミナが削られるという理由も加えられ、消去法で "昔ながらのあっさりラーメン" をオーダーすることにでもなるのだろう。
グビグビ…コンッ!
だが、それでいいのだろうか。
・スタミナを守るな
日本を代表するガンマンで、太宰治氏、水木しげる氏に次ぐニヒリストの一人である次元大介氏は、こんなことを言っていた。
「お前がどれだけ軽いラーメンを頼もうが知ったこっちゃ無いが、俺に言わせりゃロマンに欠けるな」
と。たぶん。
見ただけで素材の味は想像がつくのに、そのコンビネーションにより粗暴にして緻密な滋味の迷宮へと引きずり込むニンニクの芽と豚バラ肉のモーストデンジャラスコンビ。
食後の予定なんてお構いなしで天衣無縫に香るニンニク。丼のふちをギラギラと光らせついでに口元もテカテカに光らせるセクシーバイオレンスなラード。退屈で味のしなくなったガムのような日常生活の繰り返しにアンチテーゼを唱える刺激的なピリ辛スープ。
スタミナ料理は往々にして、一筋縄ではいかない曲者たちで構成されている。
・スタミナを体現せよ
これらスタミナ溢れる強敵(とも)から逃げずに対峙し渡り合うために、早寝早起き深酒を控え時々その辺をほっつき歩…ウォーキングをしつつ道端に咲いている名もなき野花を愛でるなど、心身を整える行動こそが、真に "スタミナをつける" ということなのではないだろうか。
スタミナとは、よりよく生きた証なのである。
だがしかし、人生は七転び八起き。
時にはスタミナ料理を前に力及ばず、スタミナを減らし天を仰ぐこともあるだろう。
そんな時は
はい、これ一本。
サクッと補給しちゃって。