時間はちょうど昼めし時だな。食事ができる店を探すとしよう。
旅先ではその土地の、出来れば普段とは違うものを食べたいという気持ちは判らなくもない。
だが、自分は違う。
普段と同じもの、つまりいつも通りの食事でいい。
ああ、ココがいい。
『ラーメンショップ』だ。
地元にもあるラーメンチェーン店で、いつも利用している。
こういうのでいいのだ。こういうので。
普段から使っているチェーン店なら、味はだいたい判っている。食事にかかる費用も、おおよそ予測はつく。つまり大きな間違いはなく、要は安心だ。
さて、土産を何にしよう…新潟の土産か…
そういえば駅構内の売店では
『笹だんご』という新潟名物が激しく推されていたな。
なにしろ…
▲こしあんにするべきか
右を見ても笹だんご。
▲つぶあんにするべきか
左を見ても笹だんご。
▲どっちゃでもいい
振り返れば笹だんごがいる。といった塩梅なのだ。
正直あんまり馴染みがない、この笹だんごとやら。
▲すげ(通称だんご紐)という鎖で縛られた実力者
飾り気のないネーミングや、地味なビジュアルとは裏腹に、よほどの実力者なのだろう。出なければ海産物の宝庫であり、日本有数の米どころである新潟県がこれほど激推しするハズがない。
イイ…こういうのがイイのだ。こういうのが。
オーダーしたラーメンが来た。
ラーメンショップを代表するラーメン『ネギラーメン』だ。
これだ、これでいい。
当たり前、普通、通常、朝に晩に繰り返されるありふれた日々。これでいい。
旅先のお土産は、その土地で定番と言われるお土産を選びたい。
「知る人ぞ知る」「通が選ぶ」「センスのいい」
そんな肩書がつくお土産はノーサンキュー。一体なぜ知らない土地の、知らない店で、知らない商品について無用に悩まなければならないのか。
その点、昔から名前が通ったメジャーな「白い恋人」や「萩の月」、「ひよこ」や「赤福」などはその土地の駅や空港、道の駅等で地元から猛プッシュされ、高確率で購入ができ、かつ貰った人は必ず喜ぶことが約束されている。こんなイージーな選択が他にあるだろうか。
笹だんごの需要と供給の規模、その継続性、確立されたブランド力。土産としての実績は、もはや疑う余地もないだろう。これなら間違いはない。お土産は笹だんごで決まりだ。
商品ケースから笹だんごを手にしようとしたその瞬間、異様なものが視界に入った…な、な、なんだこれはーっ!
『笹だんごパン』‼
▲不敵な笑みを浮かべるパンダ
パッケージにはパンダのイラストが描かれ、左手にパンダらしく笹を持っているが…よく見ると右手には笹だんごらしき物を、新橋の酔っ払いが携える寿司折のようにブラ下げている。
取り出してみると…これはパン…なのか?
笹、だんご、パン、この3つの要素、3つのエレメントがとにかく組み合わさった商品だという事は予測できるが、それらが一体どんな融合を見せるのかが問題であり非常に楽しみに…
パンに笹だんごが丸々入ったド直球のヤツだったー‼
とりあえず、いただきます…モグモグ…なるほど。①パンとだんご、小麦と米粉を同時に楽しめる。②アンコだけではなく、ヨモギのいい香りも楽しめる。③笹だんごは笹を剥くのに少し手間が掛かるが、ワンハンドでサッ食べられる。④パンダのくせにイラストのパンダは背筋がシュッとしている。つまりこの商品は…
革命だ!
という訳で、事務所の皆の怪訝な顔とその後の笑顔を思い浮かべ、キッチリ人数分の笹だんごパンを購入したのであった。
たまにはこういうのもイイのだ。こういうのも。
