「カヲルさん、お先に失礼します~」
「おつかれ様、エリカちゃん。気をつけて帰ってね」
「いつも遅くまでお疲れ様です~。これをどうぞ~」
「え?なになに」
「『Kongen Sweets』スパイスチョコレートです~」
「こんげ…スイーツ…」
「"七味唐辛子" 製造販売の老舗『八幡屋礒五郎』が展開する、お菓子ブランドですよ~」
「七味唐辛子とお菓子⁉」
「ホントだ。チョコレートだ!」
「カカオは栄養価高いですし、元気ハツラツで仕事を切り上げて、カヲルさんも早く帰りましょう~」
「ありがとう‼」
嬉しいなァ。
わざわざ大門町の本店で買ってきてくれたのかな。
あそこなら、八幡屋さんの商品をほぼ手に入れる事ができるし。
お店の前には七味缶型ベンチもあって、一息入れることも出来ちゃう。
しかしあの缶のデザイン、なんど見てもカッコイイ!
長野のお土産の定番といえば、コレは外せない。
八幡屋の七味といえば唐辛子をはじめ紫蘇や山椒、生姜や陳皮など七種の素材を秘伝の製法で調合した逸品としてチョー有名。
その鮮烈な薬味と、自慢の焙煎技術で煎られたカカオを使用したチョコとの組み合わせ…かぁ
なんか美味しそう!
厳選された薬味はどれも個性豊か…か。
エヘン…
「江戸時代の天文元年から鳴らした俺たち八幡屋七味部隊は、『振りかけると食べ物が美味くなり食べすぎて太ってしまう』という濡れ衣を着せられ当局に逮捕されたが、善光寺境内から脱出してチョコレートに潜った。
しかし、甘さの中でくすぶっているような俺たちじゃあない」
「俺はリーダーの『唐辛子』通称 "カプサイシン"。奇襲戦法と変装の名人。
俺のような天才策略家でなければ、百戦錬磨のつわものどものリーダーはつとまらん」
「俺は『山椒』通称 "うな重の上にいるヤツ"。自慢のルックスと小粒でもピリリに、女はみんなイチコロさ。
ハッタリかまして、サンショウウオから山椒大夫まで、何でもそろえてみせるぜ」
「よお、お待ちどう!俺様こそ『柚子』通称 "冬至にお年寄りが入っている銭湯の湯船にプカプカ浮いているのをテレビでよく観るヤツ"。薬味としての腕は天下一品。
皮が固い?種が多い?みかんの方が好き?だから何?」
「S.G.『生姜』通称 "岩下じゃいつも新しいヤツ"。口をサッパリさせる天才だ。ガリになったら "すきやばし次郎" でもブン殴ってみせらあ。
でも、『しょうがないなぁ生姜だけに』なんてオヤジギャグだけは勘弁な」
俺たちは、道理ばかりの世の中にあえて挑戦する。
ネットでも買える神出鬼没の
『スパイスチョコ野郎7チーム』‼
刺激を求めたい時は、いつでも言ってくれ!
なーんてね、ウフフフ」
「あの…じゃあ帰りますね~」
「あッ、まだ居たのォ⁉」