フフフ…
あの織田信長の居城『岐阜城』の設計図を手に入れたぞ!流石は我が武田軍団諜報部門代表の富田郷左衛門だ。でかしたぞ!
あ、どうも、武田信玄です。
最近なんだか美濃地方に詳しくなったので、東美濃に侵入しようって寸法なんだ。
指揮は "武田の猛牛" こと秋山に任せるつもりだけど、敵方の要衝も調べておかなければな。彼を知り己を知れば百戦殆うからずだ。
どれどれ…
出来たぞっ!
これが信長の岐阜城だ。
我ながら恐ろしい完成度よ。どこから攻めてくれようか。…この天守閣にちょこっと見えるのが信長と奥さんの濃姫か…眺め良さそうだな。…いいな、城。天守閣、チョーカックいい…
おっと信廉!! いつからそこに居たんだ⁉ 部屋に入るときは襖をノックしろといつも言っているだろ!
なに?
誰も羨ましがってなんていないぞ!
「人は城、人は石垣、人は堀…」
城の守備力だけに頼っていてはダメだ。国づくりとは人づくり。箱物行政なんて流行らない。オレは人のハートをなにより大切にしたいんだ。あんまり滅多な事を言っていると、黒川金山送りにするぞ!まったく
…ん?
なんだとーっ!また北信濃の豪族どもが、オレの悪口を言っているだと!? アイツらぁ、また性懲りもなく…で、なんて言ってるって?
「戦国大名といったらやっぱ城だよな。そこへきて信玄の本拠は躑躅ヶ崎館。館って…だっしゅつ!虫のやかたかよ」
なにーっ!アイツら『甲州流築城術』を知らないのかよ。オレ、メチャクチャ城持ってたり、造ったりしてるんですけどー!
おのれィ…昌豊、狼煙を上げよ!
風林火山の旗を掲げよ!
物を知らない北信濃の田楽侍どもを教育してやる。
軍勢5,000で躑躅ヶ崎館から出陣だ!
全軍、茅の輪を潜るんだ!縁起物だからな。一人一人、ゆっくりだぞ。
ドドドドドッ!(騎馬軍団移動中)
甲州街道を信濃に向けて、進軍中のBGMはもちろん『信長の野望・大志』 "深紅の火花散る" だ。大塚正子さんとブタペスト・アート・オーケストラはいい仕事をしているな。
もう諏訪を抜けたのか。ちょっと休憩をしよう。
『松本城』だな。
武田家にとっては『深志城』だけど、細かいことを気にしていたら女の子に嫌われるぞ。
この地は武田軍団中信支所営業本部がある重要な場所なんだ。だから城代は武田四天王の一人である馬場に任せているぞ。お、城前の交差点で馬場が手を振っているな。
おーい…あ、突然「小笠原」と書いてある暴走トラックが馬場に向かって行くぞ‼ 危ないっ!
ガシャーン‼ 馬場ーっ!
…かすり傷一つ負っていない。MGS2のフォーチュンみたいなヤツだな。ウーム、流石は馬場美濃守だ!"不死身の鬼美濃" と称されるだけあるな。なんか韻も踏んでるし。
さて、腹が減っては戦ができぬ。
馬場、兵糧を賄えるところはないか?
ムッ!? 松本城の外堀に店が浮いている!なんと奇異な…
ここにしよう。
『かき船』か。
店主、この店に5,000の軍勢で入店することは出来るか?出来ないか。そうか。
馬場、二人で入るぞ!
牡蠣は季節外で扱ってないのか。ならば名代のかつ丼を頼むぞ。
ハフハフ…美味いな、これは。信州産の豚肉と卵が口の中で合戦だ‼ モグモグ……
美味だぞ!
おかわりを頼む…
なにをする‼ 馬場、なぜ止めるっ!なにィ…
「貪欲な武将として後世に名を残す」
だとォ…
あい判った!さすが7歳年上だけのことはある。よく言ってくれた。目が覚めたぞ。オレは良い将を持ったな。
でも食後に甘いものも食べたいな。
『山屋御飴所』か。
創業寛文12年の老舗の飴屋だってさ馬場。
いいなー。
いいなー。松本の清水と安曇野の米で作られる米飴なんだって、馬場。
美味そうだなー、馬場。
みんな買ってるぞ、馬場。
ありがとう、馬場!
これで全軍の士気はさらに上がるぞ!
ポリポリ…気に入った!
極限にまで薄く伸ばした米飴にピーナッツを混ぜた『板あめ』で力をつけて、今回の目的である甲州流築城術の粋を集めた城まで進軍を続けるぞ!ポリポリ。
信州新町に着いたぞ。空気がいい所だな。
駐車場になっている丸馬出し内部だが、この立派な土塁を見てくれ!
ちゃんと手入れもされているな。いつも感心するぞ、信濃の田舎の勤勉さには。
この土塁外側にある三日月堀も素晴らしいんだ。
うおおっ!
夏草が生い茂っていて見えんな。
春先ならこんな感じだ。
どうだ、このしっかりとした三日月型。ナイキがスポンサーになってもいいくらいの形をしているぞ!
ここは北信濃のライオットや越後のアイツに備えて造られた『牧之島城』だ。
犀川の流れに沿った断崖と、山部に続く舌上台地を利用はしているが、歴とした平城だぞ。
甲州流築城術の防御力を存分に味わいたいのなら、ここに来い‼
信濃の木っ端武者どもがいくら攻め寄せようとも、ビクともするもんじゃないぞ!
本丸の前には、この堀が立ちはだかる。
この堀にはお店が浮いているなんて僥倖はないぞ。甲州流築城術はガチだからな。でも渡るにはちゃんと木橋が通してある。不便だからな。
馬などの乗り入れを禁止…
守護大名であるこのオレに対し下馬を強要するというのか⁉ すごいセキュリティの高さだな。さても堅城、牧之島城よ!
…ん?なんだ、この甲斐の虎に対して行く手を阻むトラロープは…
「老朽化につき、この橋渡れず」
だとォ…なにィ…真ん中もダメか?一休さん的な。ダメ?
…フフフ、まさに難攻不落…さても鉄壁の備え、牧之島城よ!
堀を渡れたとしても、その先ではこの城の防御システムの一つ "枡形" がお出迎えだ。いわゆる虎口だな。
うっかりその方型の内部に侵入しようものなら、周囲で待ち構えていた守備隊が "槍" や "弓鉄砲" 、"湯船に浸かっている時や夜寝る前にベッドでフと思い出して思わず足をバタバタさせてしまうような心に刺さる悪口" をお見舞いするぞ。
本丸内部はこの広さだ。5,000の軍勢だって収容できるぞ!
多分、大丈夫だ。
オールスタンディング、ワンドリンクなら大丈夫だろう。
二の丸から入ろうたって、また枡形で戦国流歓迎会の開催だ。たっぷり可愛がってやるぞ!
オレはなんて恐ろしい城を所有しているんだ…ブルブル
あ、二の丸にはちゃんとお手洗いがあるから安心しろ。そういう優しいおもてなしもあるから。
つくづく良い城だな、ここは。
馬場、まさにお前の居城に相応しい。築城の名手の名に恥じぬ働きぞ。
牧之島城がここにある限り、北信濃の豪族どもも下手なことは出来まい。グワハハハ!…安心したら眠くなってきたな。今日はこれくらいにして帰るか、昌豊。信濃の案山子武者どもよ、命拾いしたな!
頼りにしてるぞ、馬場。いつもありがとう、馬場。キサマこそは我が武田軍団が誇る重臣 "不死身の鬼美濃" 馬場信房。略して鬼ババだ!
…え?その略し方は止めてくれって?なんでよ。