蝉の声に暑さを覚える今日この頃。
地方に力あり。あの人に会いたい。
本日は山梨県で産業育成、鉱山開発、治水事業、特殊警備保障等と領国経営に力を注ぎ、地方から中央へ大きく影響を与えている、甲斐武田家第19代当主『武田信玄』氏にお話を伺いたいと思います。
軍配を扇いで涼を取りながら、館の奥から信玄氏が登場です。
・地方の雄 おはようございます。信玄さん。
「おはよう。まぁそう堅くならず、信玄なんて堅苦しい法名で呼ばなくていいから」
では、晴信さんとでも…
「太郎と呼んでくれ」
"太郎" は信玄氏の幼名だ。
「俺が太郎だった頃、弟の信繁は次郎だった。おふくろは苦労で、親父は過労だった。わかるかなァ、わかんねェだろうなァ…」
わかりません。
ところで信玄さん。このシュッとした姿の絵は一体…
「私の自画像だけど、なにか?」
信玄さんのビジュアルといえば、多くの方々がこの像の様な恰幅のよい偉丈夫を思い浮かべるのではないでしょうか。まさに一筋縄ではいかない百戦錬磨のつわもの。海千山千の梟雄。煮ても焼いても食えぬナスのヘタ。世界中がアブラムシだらけになっても一人生き抜くであろうバイタリティの塊。
「最後の方はメチャメチャな言われようだが…まあいいだろう」
「権謀術数、野望横溢、領土拡大、夢一杯で、最強騎馬軍団を率い何時何どき攻め込んでくるか判らないような油断ならぬ大名といえば、こんな厳つい大将が頭を張っているのではないかと思うよ、実際」
信玄氏に対し、ポルトガル人宣教師のルイス・フロイス氏は機関誌に「(信玄氏は)武力により畏怖され」と寄稿している。
「でも、今やそれではダメだ。領主たるもの、スマート&クリーンそしてラブリーという事を常に意識し、発信し続けなければならない。特に未来ある子ども達への影響力は大切だ」
「ちなみに私の影武者はこれに変更してるから」
違う意味で相手方が混乱に陥りそうですね、これは。
・生誕500年 ところで信玄さん、今年は生誕500年というアニバーサリーイヤーだそうですね。おめでとうございます。
「いや、ありがとう。少しでも地域の活性化につながってくれれば良いと思っているよ」
さすがは信玄氏。公私に隔たり無く、領国の発展を何より念頭に置く経営戦略の鬼。
甲斐の虎だ。
「だが、この顔出しパネル…私より横に並んでいる山本勘助の方が強そうだな…家臣なのに。股も私より数センチは開いているんじゃないのかな…家臣なのに」
さすがは信玄氏。人は石垣、人は城。常に家臣への評価を怠らない、人事管理の鬼。
甲斐の虎だ。
・郷土の英雄「ん?君が口にしている物は何だね?」
『モンスター スーパーコーラ』です。
「それは感心しないな。ここ甲斐でエナジーといえば『レッドブル』でも『モンスター』でもない」
「ましてや "戦う前にこの一粒"『龍が如くグミ』でもない」
なんですか、そのグミ。
「甲斐のエナジーといえば『LOCAL×ENERGY山梨』に決まっているだろう?」
まったくもって信玄氏の郷土愛は深い。
信玄さんも地元からずいぶん愛されています。名を冠している銘菓『信玄餅』は、長年に渡り山梨県のお土産NO.1にも選ばれています。
「物産品に自分の名が付き、それが大人気とは領主冥利につきるというものだよ。ああ、今までやってきた事が正しかったんだな、認められたんだなと、つくづく思うよ」
そういえば新潟県の英雄 "上杉謙信" さんも、川中島に向かう途中の飯山で笹ずしを振る舞われ、地元民は笹ずしを以来『謙信ずし』と呼んで謙信さんの威光を称え…
「そこまでだ。ここ甲斐 で "越後のアイツ" の話をすれば残念ながら黒川金山送りと、法度で厳しく定められているから。今後は十分に注意してくれ」
「時に、君は『信玄餅』に "プレミアム" が存在するという事を知っているかね?」
地方のお土産とプレミアムという言葉の融合…とても魅惑的ですね。
プレミアム信玄餅とは、どうやら正確には『桔梗屋信玄餅 吟造り』と呼ばれるものらしい。
どこで手に入れる事が出来るのでしょうか?
「ここ躑躅ヶ崎館前のお土産屋『かぶとや』でも買えるし、桔梗屋直営店や、なんならネットでも購入できる。是非どしどし購入してくれたまえ」
最後に、信玄氏へ今後の展望ついて尋ねてみた。
「将来を第一に考えて、気長に対処していくことが肝要だ。戦いは五分の勝利をもって上となし、七分を中となし、十分をもって下となる。人は十勝てば驕るだろうし、七勝てば気を緩める事もあるだろうけど、五くらいなら次は頑張ろうとなるからね。大勝ちは求めないように」
信玄さんの戦績は72戦49勝3敗20分と、引き分けが多いです。
「負けさえしなければ、きっと次につながる。次に勝てばいい。こんな時代だからこそ希望は捨てず、お互いに頑張ろう」
本日はありがとうございました。
・価値のある『信玄餅』甲府を後にし、甲州街道で帰路につく途中、韮崎にある桔梗屋直営店の一つ『桔梗屋藤次郎』に立ち寄った。
お目当てはもちろん
信玄氏が激しく勧めていた『プレミアム信玄餅』だ。
まず包みだが、ノーマル信玄餅はビニール製だが、プレミアムは不識布製だ。
この時点で高級感が漂っている。
因みに信玄餅の包みは一つ一つ手仕事で包まれているそうだが、プレミアムは選ばれた熟練者しか担当できないのだそう。
楊枝は、ノーマルは木製だが、プレミアムは竹製の『黒文字』だ。
黒蜜は、ノーマルはただの黒蜜だが、プレミアムは黒蜜に山梨県産最高級蜂蜜『アカシア蜂蜜』をブレンドした美しい琥珀色。
きな粉は、ノーマルは国産きな粉を使用しているが、プレミアムは『丹波の黒大豆きな粉』を使用している。
何から何まで高級品。まさにプレミアムだ。
餅も当然、厳選されたモチ米が使用されている。
モグモグ…モチモチ…ウーム、これは美味い。
いや、もともと完成されている美味い信玄餅を、付加価値をつけて更に美味く感じさせるところなど、上手いと表現した方がよいかもしれない。とても感心させられる逸品だ。
72戦49勝3敗20分。
これは信玄氏50勝目とカウントしても良いのではないだろうか。