おばんでやんす。
夜に旅するライダー、夜野カヲルです。
夜に行く観光地の魅力を紹介する、不定期連載『夜にドコ行こう』。
それでは今夜もこっそり出発するとしましょう。
▲夕暮れ時の善光寺周辺。空と地上とのグラディエーションが素晴らしい風景
■日本中から観光客が集まる『善光寺』
善光寺の創建は1400年以上前。日本仏教が諸宗派に分かれる以前から存在する寺院のため宗派の別が無い霊場あつかいであり、特定の宗派に属さない「無宗派」寺院。市民からは「善光寺さん」と敬称で呼ばれる、長野市きっての観光スポットです。
まずは善光寺東隣にある『長野県立美術館』にお邪魔しましょう。
2021年4月に、開館50数年を経て『長野県信濃美術館』が「ランドスケープ・ミュージアム」という素晴らしいのコンセプトのもと、全面改築された美術館です。
▲夜のランドスケープを散策
"美術館は夜に行くに限る"
なんて言った人がいるかどうかは知りませんが、辺りが暗くなると一変、建物はランドスケープのおかげで昼間とは違う顔を見せてくれます。
施設内では水がふんだんに使われており冬場は少し寒いのですが、それもランドスケープのご愛嬌。階段を昇降してもし息が上がるようなら、あなたは少しランドスケープ不足かも。良質なタンパク質とランドスケープを積極的に摂取するようにしましょう。ってランドスケープってなに?
▲幻想的な風景が広がる『風テラス』
屋上には『風テラス』と呼ばれる、開放的な広場が備えられています。
訪れる人々で賑やかな日中とは打って変わり、夜の帳が下りる頃にテラスへ立つと、周囲が静寂に包まれていく時間を堪能することが出来るでしょう。
さあ、耳をすませて…
うわーいっ!
うわーいっ!
夜風が遠く聞こえる街の音を運び、なんとも心地がいい…。
屋上からは善光寺と囲む山々を一望する事ができ、まさに一幅の絵画といえるファインビュー。
…え?暗くてよく見えない?
しっかり目を凝らしてご覧ください。あとブルーベリー食べて、視力上げて。
▲交通ルールを守らなければバチが当たる、かも
善光寺は言わずと知れた国宝ですが、夜間でも自由に境内に入る事ができます。
女人禁制の慣習が存在した旧来の仏教において、女性も隔てなく救済していた稀な寺院でもあった為、誰でも夜でもウェルカムなのです。
ただ、夜だからって、交通量が少ないからって、横断歩道をちゃんと渡らなければ仏罰がくだります。
▲ムキムキマッチョがお出迎え『仁王門』
善光寺の『仁王門』で睨みを利かせる仁王像は、左に阿形像、右に吽形像と一般とは逆に配置されています。ほぼ像の重さだけで立っている自立構造。"高村光雲" と "米原雲海" の通称「雲'z」による造立です。
夜間はライトアップされるので、日中よりもその迫力ある表情や範馬勇次郎氏のような筋肉を、しっかりと目にすることが出来るでしょう。
▲緑の光が石畳を照らす参道。歴史を感じるお土産屋や仏具屋が軒を連ねる中に……
▲スターバックスが。ショート、トール、グランデ、ベンティの他に、テンプルというサイズを選べることは……ない!
■善光寺境内は見どころ満載
仲見世通りを抜けると、目の前には「山門」が。「さんもん」と読み「三門」とも記されます。
三門とは「三解脱門」の略で、
「空解脱(全てのメーカーは結局は共にバイクを愛する製造者)」
「無相解脱(排気量で相手を差別をしない)」
「無願解脱(すぐに新しいバイクを買いたがらない)」
という煩悩や迷いを振り払い、この門を潜る必要があることを意味します。
▲山門は国の重要文化財
山門の楼上に掲げてある「善光寺」という、畳3畳分の大きな扁額。
通称『鳩文字の額』と呼ばれています。なぜなら、この額の「善光寺」の3文字の中に、鳩が5羽隠されているからです。よくご覧ください。まず「善」の文字に2羽…
え?暗くてよく見えない?アントシアニン摂ってます?
仕方ないな…
こう!
やっぱり日中ならよく見えますね。
「善」の文字に2羽、「光」の文字に2羽、あと1羽は…えっと…
ちょっとドコかに飛んでいってるみたいですね…。
▲東日本最大級の国宝木造建築
夜の善光寺本堂は、訪れる者を圧倒する荘厳さと、分け隔てなく受け止める寛容さで、常に私たちを迎え入れてくれます。
本堂は108本の柱で支えられているのですが、この数字は世にいう煩悩の数と同じ。お寺さんて、階段の数とか何かしら数字に意味を含ませることが多いですよね。
その柱の中でも、弘化4年(1847)に発生した善光寺地震によりズレてしまったと云われている本堂正面の柱、通称『地震柱』は必見です。
ほら、すごいズレているでしょう?捻じれているでしょう?
え?暗くてよく見えない?ピンホールメガネ使ってます?視力回復するとかいう。
仕方ないなぁ…
こう!
どうです?よく見えます?
これならどうです?
ね?結構ズレているでしょう?やっぱ日中はよく見えるなぁ。
ただ最近では、経年変化による柱の捻じれであるとの見解が一般的ですが、真相は闇の中としておきましょう。夜だけに。
いかがだったでしょうか。
夜の善光寺。
明るい日中に訪れた時とは違う、ドキッとするような表情を見せるのが夜行く観光地の魅力。人があまり経験しない事をちょっぴり体験する優越感、人が寝静まる頃にパーキングエリアで缶コーヒーを飲む背徳感、そんな感じ、夜の観光地。
また行こうっと。
でも観光するならフツーに日中がオススメ!