前回のあらすじ!
「ブッシュ・ヒップ・レイク」
二人は野尻湖をそう名付け、シールド越しにウインクをして湖を後にした。朝の湖畔のモーニング、日々の喧噪を忘れさせる素敵な時間。空腹を満たし、心も満たし、美しい朝日がアスファルトに走る2台のシルエットを映し出すなか、エキゾーストノートが爽やかな高原にこだまする。
さあ、次はなんだ?
次はドコに行こう!
ブッシュ・ヒップ・レイクってどういう事だ⁉
「どういう事なんです?ブッシュ・ヒップ・レイクって」
「ん?なんの事だい?」
・赤倉温泉 手湯(無料)
「長野県信濃町のすぐ隣、ここは新潟県妙高市『赤倉温泉』だよ。江戸時代の湯治場から数えて開湯200年以上の温泉だね、カヲルくん」
「イイ感じの温泉街ですね~、荒川さん」
「藩政時代はこの地方を領有した高田藩が運営をしていた、日本で唯一の藩営温泉としても有名でね」
「藩営…う~ん、あんまり儲からなかったんじゃないですかねぇ…」
「?」
「『殿様商売』なんちゃって」
「ハハハ、順調だったらしいよ」
「日が昇ってきましたが、まだまだ寒いですねぇ。ク~、手先の感覚が…」
「さあ、赤倉の名湯で手指を温めよう」
「手湯じゃないですか!源泉かけ流しだなんて、これはまた結構な…アチチチッ‼ 激熱ですよ、ここのお湯!」
「フフフ、手がかじかんでいると、ぬるいお湯でも熱く感じるものさ…アチチ!本当に熱いね。これはしっかり温まりそうだ」
「フ~極楽極楽…ん?岡倉大吉終焉の地…」
「それは食事処『おかくら』の店主だね。渡鬼の。大吉のほうじゃなくて天心だよ、岡倉天心」
「ああ、あのお茶大好きオジサン」
「日本美術院の創設者で近代日本美術史の開拓者であるカリスマを、一体どういう風に記憶しているんだい?」
「足湯コーナーはブルーシートが掛かってますね。名湯で足先も温めたかったなぁ…」
「他の場所を探してみよう。その前に妻にメールと…」
荒川さんは浪速じゃない方のモーツアルトと互いの奥様の話で意気投合、一緒に曲作りをしてしまうであろうほどの恐妻家で知られますが、本当にまめに奥様へメールをされます。あ、済んだみたい。
「ハハハ、ここは南国じゃなくて北国だけどね。近くに足湯公園というのがあるらしいよ。さあ、出発しよう」
・赤倉温泉 足湯公園(無料)
ひとっ走りして着きましたー‼
赤倉温泉『足湯公園』です!
といっても先ほどの手湯から数百メートルの場所なので、ホントにひとっ走り。
ここは大きな駐車場が備わっているし、自動販売機や公衆トイレもあるしで、大変ありがたい施設となっております。
「よ~しっ‼ 張り切って温泉に入るぞ~!」
「確認するけど、足湯だからね。足湯。足湯のテンションで向かおう」
「『自分にあった温度の温泉をお楽しみください』…それも無料で…フ~ン…控えめに言って公園じゃなくて楽園ですね」
「ここも源泉かけ流しか。これは贅沢だ」
「なになに…温泉以外に冷泉もあって、温冷交互浴ができるんですって。やってみましょうよ~、荒川さん」
「この噴水の向こう側に、清水で満たされている『冷泉』があるんですって!」
「ハハハ、落ち着いて」
「…」
「急に落ち着いたね。いやはや、これは冷たそうだ」
「…もしや噴水の水と同じじゃ」
「別だよ、別。清水っ」
「今日は湯気ポカポカの温泉だけにしておいて下さい、荒川さん。年寄りの冷や水って言いますし」
「聞き捨てならないが、賛成だね」
「半円形の足湯スペース両端が湯口となっていて、そこがもっとも熱々なんですって」
「さっきの手湯の件からして、掛け値なしに熱そうだね」
「これは油断なりませんよ、荒川さん。気をつけて」
「僕が先かい?」
「アチチ…うーん、でも気持ちいいね、これは最高だ」
「どれどれ…ホントに熱い!う~、でもガマンガマン…熱湯が皮膚ガンを予防するって書いてあったし…東京都浴場組合ホームページに…留さん一家健康の秘密『お風呂で元気』に…」
「相変わらず妙なホームページを覗いているねぇ」
「♬ 旅行けば~ 駿河の道に 茶の香り~…」
「いやぁ…やっぱり温泉はいいねえ…足湯とはいえ」
「ゴクゴク。荒川さん、飲みねえ、さ、エナジードリンク飲みねえ。江戸っ子だってねえ」
「出身地は江戸の隣だよ。ありがとう。水分補給は大切だからね」
「ここは最高ですねぇ、足湯公園…もう足をお湯から出したくない…」
「ハハハ、ツーリングがここで終わりそうだよ」
そんな赤倉温泉の温泉公園も最近まではこんな感じ。
4月下旬までお休み中ですって。
温泉街も真っ白な雪に覆われて…
これはこれで趣がありますね。
早く春にならないかな~。
でも熱々の手湯はいつでも絶賛稼働中!