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ドカッとドコ行こう

略して ドカドコ!

上越新幹線に乗ったら浦佐駅で降りて『ラーメンたんぽぽ』に行くのだ

 

私、新幹線に乗るの、大好きなんです。

だって気分を変えたいなと思ったときに、サッと新幹線に飛び乗れば、今いる場所から見たことない場所へ、私の知らない私のことも知らない土地へ、シュッと連れていってくれるのですから。

日々これ様々なことで考え過ぎの頭の中を、空っぽにして身軽になろうと新幹線に乗り、窓際でアンニュイに頬杖をつきながら東スポを読み耽り、じゃがりこが底をついた頃に停車した駅、新潟県浦佐駅というホームに降り立ったのでした。

浦佐っていったい新潟の、どの辺りなのかしら。

事前のなんら情報もないこの土地で、一人ぽつねんと佇む私。

日常の時化のような慌ただしさから嘘のように、今日のこの凪のように穏やかで長閑な時間。

ああ、このギャップがたまらない。

今日はこのまま、何も考えずにブラブラして過ごそう。

でも、この浦佐という土地は、いったどのくらいの規模の市町村なのかしら。

まがりなりにも新幹線の駅を誘致できるくらいなのだから、そうとう行政に力があるのか、地方の有力な政治家が馬力を出して…

ハッ!

いけない、いけない。

今日は何も考えずに、ボ~ッとして過ごそうと決めたのでした。

それにしても広大な駅構内。昭和の頃に建造されたのでしょう。

時代も変わり、往時はもっと利用客で賑やかに…ん?

「駅構内でのクラッカー及び爆竹の使用はご遠慮ください」

ここ浦佐は、矢も楯もたまらず構内でパーティー春節のお祝いでもするような、はっちゃけた文化が根付いている土地なのかしら…

テープ…あ!ひょっとして、新幹線で新婚旅行に出発する新郎新婦を、祝って見送りする際に使用した物なのかな。それで、親族友人近所の住民等一同が万歳三唱なんかしちゃって。きっと、酔っぱらった叔父さんなんかが「夜にわからないコトがあったら、俺に電話するんだぞ~」なんて大声で言っちゃって、新郎新婦が恥ずかしそうに下を向いて頬を染めて、みんな笑顔で…

って、いけない、いけない。

今日は何も考えず頭を空っぽにして、JRの駅構内の自動販売機で買える『朝の茶事』を飲みながら、一日を便々と過ごそうと決めてたのでした。

「裸押合大祭」…

浦佐で有名なお祭りなのかしら。見て、この湯気モウモウ!写真だけでも、熱気が伝わってくるよう。

でも、高い所から煽る数人の人たちと、その下で揉み合って熱狂している大勢の人たちに分かれているみたい…あ!ひょっとして、これはライブみたいなお祭りなのかしら。燃え盛る巨大な赤い蝋燭がとっても神秘的。きっとステージの上からハチマキに白装束のメンバー達が「ヌハハハハ、諸君!」「これは祭りではない…ミサだ!」「お前も蝋人形にしてやろうか!」なんて言いながら、巨大な蝋燭を振りかざし「♬ 誰も知らぬ~秘密の~…」

って、いけない、いけない。

今日はもう色々と考えずのどやかに、体はアウトドアだけど気持ちはカウチポテト族で過ごそうと決めてたのでした。

浦佐駅周辺って、とっても自然豊か。

空の青さと山々の新緑が織りなすグラデーションを眺めていると、最近のなんでも白黒つけて分けようとする価値観って、なんかセンスないなって思っちゃう。

今日はなんにも考えたくないから、ランチのお店選びも至ってシンプル。

『ラーメンたんぽぽ』

浦佐駅から歩いてすぐ。このお店に決めました。

でも、"ラーメン" で "たんぽぽ" ときたら、伊丹十三監督のラーメン・ウエスタンと称される映画『タンポポ』からインスパイアされた店名なのかしら。ひょっとしたら店の中にゴローやガン、モチをつまらせる老人…

って、いけない、いけない。

"新潟ラーメンを知り尽くした男・片山がすすめる「絶対美味しい100杯」に選ばれました" ですって。なんだか美味しそう。

でも、男・片山って誰?…右京?…晋呉?…そういえば片山まさゆきの『SWEET三国志』を読んで以来、張飛といえばボディビルダー魯粛は半魚人、徐晃は徐行の標識を振り回して…

って、いけない、いけない。

あの女性の店員さんが "たんぽぽ" さんかしら…

うふふ。ダメダメ。

あまり深く考えないで、席に座りましょう。

悩むな~!どれにしようか頭つかうな~!

「けんちんラーメン」「ひなぎくラーメン」「たんぽぽラーメン」…なんという魅惑的なメニューの多さ。ここは思案のしどころ…大体このチャーシューメンよりトンカツラーメンの方が安いって、自分の金銭感覚の方がおかしいのか…

って、いけない、いけない。

ここは何も考えずに、男・片山が絶対美味しいと選んだ『アユの焼干しラーメン』にしましょう。

お願いしまーす。

しかし誰なんだろう…男・片山って…ブツブツ

なるほど、これは美味しい!

鮎の焼干しを使ったスープですが、トビウオや鯛なんかの比較的優しいスープより繊細な味で、それでいて旨味濃厚。鮎は若草のような芳香がするので "香魚" とも呼ばれていますが、スープを口に含んだ時の香もすごくイイ。

麺もプリプリしていて、とっても美味しゅうございます。

手が込んでいる逸品。一日限定15食も納得です。

なのに普通のラーメンより50円高いだけって、いったいどういうこと?大体この店ではワンタンメンとトンカツラーメンが同じ値段って、自分の金銭感覚が…

って、いけない、いけない。

大満足のランチでした。

たまには何も考えず、お店へ飛び込んでみるのもイイものです。

今日は考えるより、感じていたい。

そんな日なのでした。

『めちゃうす』『やさしくFit』

こんな自動販売機があるんだ。これもレトロ自販機というのかな。

でも、きっと浦佐の若者たちは夜な夜な原付か何かでソッと乗りつけて、まずは隣の自販機で飲みたくもない爽健美茶でも買って、辺りを見渡して千円札を自販機に入れようとするのだけれど、慌てちゃってなかなか入らなくてウイ~ンなんて出てきちゃって、焦りながら自販機の角でお札のシワを伸ばして…