「あら?マキ、いったい何をお食べになっているのかしら?」
「ナニって、『カントリーマアム』だけど」
「あらあら、あのチョコクッキーの?どこでも売っている?庶民的お菓子世界選手権日本代表の?」
「なんなのよ、その世界選手権って。でもさカヲル、これは『カントリーマアム チョコまみれ』っていってさ、フツーのカントリーマアムミニに比べてチョコの量2倍なんだって。スゴクない?」
「オホホホホ。そんな事で大喜びしているなんて、あなたもズイブンとお幸せな方ね」
「なによ、その妙ちきりんな喋り方は。それなら、コッチはどうよ?」
「『カントリーマアム まみれさんの休日』さっきの『チョコまみれ』の中に、ラムレーズンが入った贅沢品だからね」
「これが贅沢って、オホホホホ!カントリーマアムのくせに、変に背伸びをしたら滑稽極まりなくってよ」
「ちょっと、さっきからなんなのよ、感じ悪いな。アンタだって、カントリーマアム大好きじゃない」
「マキ、それはもう昔のワ・タ・シ。今はチョコレートといったらゴディバしか口にしなくてよ」
「ゴ、ゴディバ?ゴディバっていったら、あの海外の?高級チョコの代名詞の?」
「オホホホ。私、最近はチョコにあきたらず…」
「羊羹もゴディバじゃなければ、なにか口に合わなくて」
「羊羹⁉ ゴディバの⁉」
「さあ、チョコレート味をお試しあれ」
「これが『ゴディバ羊羹』…別にチョコと羊羹を一緒にしなくたって…」
「モグモグ…う~ん、まあ美味しいは美味しいけど…」
「オホホホ‼ とってもデリーシャス!洋のチョコと和の羊羹が織りなす、優雅で繊細なシンフォニー。これをエレガントに例えるのならば、そうね…ダブルインパクトかしら」
「ロード・ウォリアーズの必殺技じゃん」
「さあ、カカオフルーツ味も、おひとつどうぞ」
「え~、これはどうかなぁ…」
「モグモグ…う~ん、こっちはイマイチだなぁ…私の頭が "羊羹" と "ゴディバ" と "フルーツ" の処理をうまく出来ていないのかもしれないけど」
「オホホホ。庶民の味に慣れた舌では、ムリもないかしら」
「ちょっとカヲル!いい加減にしなさいよ」
「あんたが一番好きなお菓子は、駄菓子の『キャベツ太郎』って知ってるんだからね!」
「うっ…」
「あんたのフェイスブックのプロフィールに『路傍に咲く野の花のように、どんどん焼に入っているピーナッツのように、慎ましくありたい』なんて書いてあるのも知ってるんだからね。なんなのよ、どんどん焼のピーナッツって」
「ちょっとしか入ってないところが愛おしいじゃん‼ あのピーナッツ!」
「知らないわよ!」
「あれで生き延びていた時期もありました」
「『めがぱち』なんて謎のドリンクも買ってきたじゃん、チェリオの」
「チェリオの話はもういいの!あんなジャンクでパンクな中堅清涼飲料メーカーとはもうオサラバなんだから。私、今は飲み物だってアレなんだよ」
「えっ⁉ アレって、まさかまた…」
「ジャーン‼ 『ゴディバ クラフトコーラ』だよ!」
「ゴディバのコーラ⁉ カカオ風味⁉ しかもカロリーオフ⁉」
「オホホホホ!コーラなのにこの高級感。ゴディバのシンボルマークであり、名前の由来でもある馬に乗った裸婦 "レディ・ゴディバ" のラベルが、コーラのボトルに貼られる日がくるなんて…エクセレント!」
「味はどうかな…ゴクゴク…ふ~ん、ちゃんとチョコ味のコーラだね」
「グビグビ…ミロ味?」
「濃厚なカカオの存在感もしっかりあって、さすがゴディバといったところね」
「ミルメーク味?」
「ちょっと、あんたの方がゴディバ推しなんでしょ‼ 少しは寄せてきなさいよ!」
「待ってマキ!」
「なによカヲル」
「今ね…パッケージの裏を見たらね…そんな…そんなことって…」
「どうしたのよ」
「このコーラの製造元だけど…」
「製造元?そりゃゴディバじゃ…エッ⁉ 嘘でしょ」
「せーの」
「チェリオ‼」