むかしむかし、あるお城にものすごくパンが好きなお殿様がおりました。
お殿様はあんまりにもパンが好きなので、珍しいパンを持ってくるよう領国におふれを出しました。
今日もお城には続々と、各地からパンが運ばれてきます。
お城の門にはパンを調べるため、いかめしい役人が待っていました。
「うむ、ごくろう。セブン国の者だな。運んできたパンは『白いダース ちぎりパン』235円(税込)というのか」
「ほぅ…森永製菓ダースとのコラボレーションをしたパンか。しっとりふんわり生地のパンの間に、ミルキーなホワイトチョコレートを挟み込んだパンというのだな。なるほど、切れ目が入っていて12個入っているダースチョコのように12パーツにちぎって食べれるのか…面白い。殿もお喜びになるであろう。よし、通れ!」
「おお、ごくろう。ローソン国の者だな。運んできたパンは『パンスイス ショコラ』225円(税込)というのか」
「ふむ…南蛮のプレミアムチョコレートブランドゴディバとコラボレーションしたパンか。外はサクッ中はしっとりのクロワッサン生地に、ゴディバご自慢のチョコを使用したクリームやらを挟んだパンというのだな。上品な甘さとカカオの苦みや酸味もしっかり感じられる大人パンか…エクセレント。殿もお喜びになるであろう。よし、通れ!」
「この後は春のパン祭りで賑やかなヤマザキ国と、吉田鋼太郎率いるファミマ国が来る予定…待て待て‼ 止まらんか!」
「へい、どうも本日は結構なお天気で」
「貴様、いずこの者だ」
「へい、大字ニューデイズ村から殿様にパンをお届けに参りました。しかしなんですな、パンというのはてっきり英語かと思っていたんですが、ポルトガル語だそうでして、英語にパンケーキなんてのがありますが、あのパンてのは片手鍋を意味する言葉だそうで、勘違いならぬパン違いだなんて、ガハハ、そういえばイースト菌ってのはてっきり関東方面の菌だとばかり…」
「ベラベラよく喋るヤツだ。運んできたパンはなんだ?」
「へい、『おもちこしあん(あんころもち風)』145円(税込)でござんす」
「貴様…パンではないな‼」
「そんなこたァないよ。どっからどうみてもパンでござんす」
「パッケージに一切パンという文字が入ってないではないか!怪しいヤツめ。荷を改める」
「怪しかァないよ。怪しいと思ったら大字ニューデイズ村に行ってみるがいいや。パンコーナーに所せましと並んでいる、ニューデイズ今週イチ推し新商品『おもちこしあん(あんころもち風)』を知らないとはおどろいたね」
「ふぅむ…見た目はパンだな…」
「北海道小豆100パーセント使用したこしあんと、おもちフィリングを包んで焼き上げた、人気赤丸急上昇その名も高き『おもちこしあん(あんころもち風)』でござんす」
「もう一度名前を言ってみろ」
「おもちこしあん」
「貴様やはりパンではないな‼ 中を開けろ!」
「開けたって仕方がないよ。一刻も早く殿様にモチモチ食感を味合わせたくて、JR東日本を使って急いで来たんだ。つまらねえ手間を掛けさせる人たちだよ」
「なるほど…中には確かにおもちこしあんが入っているが…あんころもち風とはこれ如何に…あっ、待て!貴様、逃げるか‼ そこへなおれ!」
「なおってられないよ。冗談じゃねえ。こちとらいつ次の商品と入れ替わるか判らねぇコンビニパン稼業なんだ。モチモチはいいが、モタモタなんてしてられないよ。あばよ!」
「おのれ…音に聞こえたニューデイズの『おもちこしあん(あんころもち風)』め…。おもちなのかパンなのか…敵か味方か…とにかく早急にひっ捕らえよ!殿の口に入る前に、味見…もとい毒見をしなければならん!」