「うーす。今日も暑いなー」
「マジで来たのかよ、カヲル。こんな朝っぱらから」
「当り前だろ!お前が『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』を手に入れたなんて聞いたら、家でパピコくわえてジッとなんてしてられるかよ」
「まァ、なんでもイイけどさ、それにしても…」
「なんでスーパーファミコン持参なんだよ。クラシックミニやりに来たんじゃねえのかよ」
「"温故知新"って言葉、お前知ってる?え?プププ… "う" じゃなくて "お" だから」
「わかってるよ。小学生かよ。だりーな…」
「古きを温ねて、新しきを知る。元祖スーパーファミコンを、ガチのマジモンをお前に教えてやろうと、わざわざ本体とケーブル一式をノースフェイスのリュックに詰め込み、チャリで来たんじゃねえか。アイスボックスにアクエリ入れたの飲み飲み」
「なんか夏休みテイスト強いな…。でもこのスーファミ、いい感じに使い込まれてるな」
「まあな、昨晩もヴァルケンでローラーダッシュのアームパンチさ」
「現役かよ?これ」
・ミニと元祖のそろい踏みだ!
「フーン、これがクラシックミニか…ケッ。小せえ野郎だぜ!」
「ミニなんだから当たり前だろ」
「それに引き換えどうだ。元祖スーパーファミコンの、この堂々たるフォルムは。ようよう!デカい!スタバのベンティ!大林素子!」
「妙な掛け声すんなよ。窓閉めろ、窓」
「しかし、見れば見るほど元祖にクリソツだな、ミニは。アイデンティティないのかよ!」
「そういうコンセプトだろ」
「フン…なるほどな…ミニの出力はHDMI端子…電源はUSB端子ときたか」
「まァ今風で、妥当なところだな」
「…気に入らねえぜ」
「そこはステレオAVケーブルにACアダプタだろ!」
「液晶モニターに接続できないだろフツー、AVケーブルは」
「趣がねえな!」
「趣なんか勝手に人ん家に持ち込むなよ。迷惑だわァ…ほら、そこの変換コンバーター使っていいから」
・まずはミニだ!
「よーし、じゃあスーファミの名作ソフトの中でも、傑作と誉れ高い『スーパーメトロイド』をプレイして、お前に元祖の凄さを見せつけてやるとするか」
「スーパーメトロイド?ちょっと待てよ、カヲル」
「ミニに収録されている、21タイトルのゲームにもエントリーされてるぞ、スーパーメトロイドは」
「知ってるよ。だから今日ここで両方をプレイして、ミニのメトロイドと元祖のメトロイド、どっちのメトロイドがスーパーなのか、ハッキリさせてやろうってんじゃねえか」
「どっちもスーパーメトロイドだけどな」
「まずはミニのスーパーメトロイドをプレイするぜ!! レッツ・スターティン!」
「スターティンて…クラシックだなぁ」
「あざっす」
「誉めてねぇよ」
カチャカチャカチャ…
「ふーん…」
カチャカチャカチャ…
「へー…」
「ファンタでいいか?」
「おう、サンキュー」
カチャカチャカチャ…
「ふむふむ…」
カチャカチャカチャ…
「なるほどな…」
「なんか判ったのかよ」
「ああ、まあな。フフフ」
・次は元祖だ!
「よーし、次はお待ちかね、元祖のスーパーメトロイドをプレイするぜ!! ヒウィゴー!カモン!ありがとう、オリゴ糖」
「ヒウィゴーって…ああ、あれか。ヤツらはクラシックじゃねーな。俺の中じゃ。今だってスタイリッシュだよ」
「誰あいつ、ビルゲイツ」
「早くスタートしろよ」
カチャカチャカチャ…
「ほう…」
カチャカチャカチャ…
「おお…」
「チップスターってなんか美味いよな」
「プリングルズより断然こっちだぜ」
カチャカチャカチャ…
「これは…」
カチャカチャカチャ…
「そうきたか…」
「で、どうだったんだよ。カヲル」
「フ~…ああ。わかったぜ…」
「まったく一緒だ」
「早く帰れよ」