ちょっと、セバスチャン!
なんなの、この年の瀬に。私、とっても忙しくてよ。
なんですって?スイーツ大賞を決めたい?2021年の?
一体なんなのそれは。説明しなさい、セバスチャン!
2021年に食べた?スイーツたちとの出会いに感謝して?大賞とやらを決めたい?
ほぅ…まァいいんじゃない?仕方ないわね。つきあってあげようかしら。
・OKASHI GAKU『ショートケーキ缶』まずは『ショートケーキ缶』とやらね。
なんなのよ萌え断って。
缶を開けると、中にはフレッシュな生クリームとイチゴのショートケーキ。
まあ、ファニーなアイデアよね。
フン、なかなか面白いじゃない。
味も悪くないわね。
いえ、むしろアーモンドやイチゴソースなど、縦型の構造を活かした何層にも重なる味や食感のグラデーションが、缶の奥へ奥へ、深淵へと私をいざなっていくじゃない。ああ…
フン、随分やるじゃない。
ただ、残念なことが一つあるわね。
これは缶でしょ?それなら全国どこでも、自動販売機で買えるようにしなくちゃダメよね。
例えばダイドードリンコとやらの自販機で。例えば『さらしぼ』や『クリレモ』『うめよろし』とやらと一緒に。
フフフ、そうじゃなくて?セバスチャン。
え?いろいろ文句言いながら残さず食べたですって?
綺麗にすればまた使えるかもしれないじゃない‼ 缶なんだもの!リサイクル!
もう下げてちょうだい‼ 興が削がれたわ。ちゃんと分別して捨てるのよ!
・赤城乳業『かじるバターアイス』次は『かじるバターアイス』とやらね。
SNSで大人気?売れすぎて入手困難?まんまバターのゴン攻め?
なんなのよゴン攻めって。
ホントにバターバターしてるわね。
鼻から抜ける香りも…バターのそれね。
味も…バターそのものね。
濃厚なコクと爽やかな冷たさのマリアージュ。すれ違うように見える二人。呉越同舟のシェアハウス。光と影が織りなす割れ鍋に綴じ蓋のケミストリー。恋愛って不思議なものね。
フフフ、そうじゃなくて?セバスチャン。
え?謎の恋愛風トークをしながら、アイスの棒のアタリハズレはしっかりチェックしてるですって?
馬鹿おっしゃい‼ いくら赤城乳業だからって、これはガリガリ君じゃなくてよ!
早くこの棒を捨ててきてちょうだい‼ カブトムシのお墓なんかに使ったら承知しなくてよ!
・LOTTE『生チョコパイ』今度は『生チョコパイ』とやらね。
地域限定販売?スーパー限定?たっぷりクリーム350%ビッタビタ?
ビッタビタってなんなのよ。だいたい使い方あってるの?
冷やして食べても美味しいチョコパイだけど、生チョコパイはすでチルドデザートのカテゴリー。
そう、生チョコパイは生まれながらにして選ばれしもの。
その「身ごなし」「気構え」「佇まい」どれをとってもこれ特別。美味しくないわけがない。まるで私のように。
フフフ、そうじゃなくて?セバスチャン。
え?多勢のチョコパイ派じゃなく寡勢のエンゼルパイ派だ、六分の侠気と四分の熱だとゼミ面接の自己紹介でハスった主義主張を展開し、その場の空気を真空状態にした事があったはずですって?
おふざけでないのよ‼ ときどき夜眠る時に思い出し、思わずベッドの中で足をバタバタせざるを得ない黒歴史がなんだっていうの⁉
なんですって?…私が2021年のスイーツ大賞とやらを決めなくてはいけないの?
仕方ないわね。フン、よくってよ。
そうね…
・2021年『スイーツ大賞』大賞は『森永ラムネソーダフラッペ』で決まりよ!
今年の夏はファミマとやらを冷蔵庫代わりにして、毎日吸いまくったわねえ…フフフ、そんな2021年。夏。
悪くないでしょ。
…なによセバスチャン、その顔は。
ホントに美味しいんだから‼ もう売ってないけれど。2022年に再発売されたら飲んでみなさい!いいこと⁉
ハイハイって…返事は一度‼ ちょっと、セバスチャン!