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ドカッとドコ行こう

略して ドカドコ!

【地獄ラーメン】柏崎『どさん娘 米山8号店』につき合ってもらう


 雨は汚れた大地をみそぎ、流れとなり、川となって常に大海をめざす。

f:id:inakakaoru:20201229204138p:plain人の世の喜びも悲しみも、一瞬の波の飛沫。

万物流天。

人の運命を司るのは、神か、偶然か。

それは時の回廊を巡る永遠の謎かけ。

f:id:inakakaoru:20201229211801p:plain求めても、求め得ぬもの。

望んでも、望み得ぬもの。

狂おしいまでの渇きが、叶わぬ思いが、殺意と闘志を生み

己の放った銃弾が、鏡の中の自分を打ち砕く。

飛び散る破片とともに、見えなくなる自分。

遥かなる地平線の彼方、もう一人の自分を映し出す鏡を求め、ここは新潟県柏崎


f:id:inakakaoru:20201227203026p:plainファウストは、メフィスト・フェレスに心を売って明日を得た。

f:id:inakakaoru:20201227205112p:plainマクベスは、三人の魔女の予言にのって、地獄に落ちた。

f:id:inakakaoru:20201227205145p:plain師走の日本海に滑り落ちる奴など中々いない。

岩場に近づけば、リスクが上がる。

海で最も危険な罠、それは海藻。

たくまずして仕掛けられた海中の闇に眠る殺し屋。

「海岸で海藻類や貝類などを採ると罰せられる可能性があります」

それは突然に目を覚まし、偽りの平穏を打ち破る。

新潟漁業協同組合から、熱い視線が突き刺さる。

そこかしこで、信管をくわえた不発弾が目を覚ます。

自爆、誘爆、御用心。

 

f:id:inakakaoru:20201231144013p:plain「どさP」という謎の文字。

何故にと問う。

故にと答える。

だが、人が言葉を得てより以来、問いに見合う答えなどなかった。

問いがどさか、答えがPか。

果てしない撃ち合いに散る火花。

その瞬間に刻まれる影にこそ、真実が潜む。

f:id:inakakaoru:20201229205449p:plainラーメン。

たとえそれが、夢の中の出来事であろうと

思い出すのもおぞましい事がある。

まして、この身、この体に染みついたカプサイシンの臭いが

逃れられぬ過去を引き寄せる。

赤く塗られた過去を、見通せぬ明日を、切り開くのは力のみか。
f:id:inakakaoru:20201229205603p:plain海にまで出てもカヲルを待っていたのは、また地獄だった。 

 

inakakaoru.hatenablog.com

 

丸子の4丁目を走り抜けた戦慄が、今、柏崎に蘇る。

旨味の末に行き着いた果てしない辛味への欲望と暴力。

人とラーメンとの戦争が生み出したソドムの店。

f:id:inakakaoru:20201229205700p:plainここは柏崎『どさん娘 米山8号店』

地獄を見れば 心がかわく

看板と暖簾が発する、赤く巨大な引力が

柏崎界隈のきな臭い火種を吸い寄せる。

錯綜する "娘" の文字と "閻魔大王" のイラスト。

目に見えぬ無数の導火線に火が走る。

f:id:inakakaoru:20201229210141p:plain店に染みついたカプサイシンの臭いに惹かれて、危険な奴らが集まってくる。

牙を持たぬ者は生きてゆかれぬ欲望と秘密と暴力の店。

危険に向かうが本能か。

遥かな日本海の波間を走り、辛味という名の破壊の迷宮に曲折し、動乱の泥濘に揉まれてもなお、キラリと光る一筋の輝き。

奴らの眼は、まだ死んではいない。

それぞれの運命を担い、男たちが昂然と顔を上げる。

f:id:inakakaoru:20201229210239p:plainカレーラーメン¥ 」「バター入ラーメン¥ 」「塩ラーメン¥ 」

かつての値段が消えた看板たち。店を守る熱い思いを熱いスープにひた隠し、数多の戦いをくぐり抜けたラーメンたちの、まるで墓標。

客という名のカリギュラたちの、ギラつく欲望に晒されて、テーブルに引き出される柏崎の拳闘士。

ここはコロッセロ。

魂なきラーメンたちが、ただ己の生存を賭けて激突する。

f:id:inakakaoru:20201229222322p:plain当店おすすめ『地獄ミソラーメン』

忌まわしくも懐かしい、あの匂い、あの色が蘇る。

手繰り手繰られ、相寄る運命。

だが、この運命は何のために。

さだめとあれば 心をきめる

炎熱の柏崎に第2幕が開く。

f:id:inakakaoru:20201229222008p:plainまずは『1丁目ミソラーメン』(快適な辛さ)

快適という名の愛。しかし

愛の究極に、憎しみの究極に、ともに潜むのは殺意。

完全なる殺意は、もはや感情ではなく、冷徹なる意志。

それでは、米山8号店に潜みしものは、愛か、増悪か。

f:id:inakakaoru:20201229222120p:plain『3丁目ミソラーメン』(激辛)が姿を見せる。

赤、赤、赤。炎熱のジャングルが、狂気をはらむ。

それぞれの望み、それぞれの運命。

せめぎ合う欲望と、絡み合う縁。

こわばった指が、朱のレンゲが、赤いスープを口に運び、「ズズズ…」虚しい音を立てたとき

むせる

皮肉にも生の充足が魂を震わせ肉体に溢れる。

そして中央にそそり立つ、情無用、命無用の鷹の爪。

その爪が、秘密の扉をこじ開ける。

口中から吹き出る炎の向こうに待ち受ける、ゆらめく影は何だ。

ささやかな望み、芽生えた愛、絆、健気な野心、老いも若きも、男も女も、昨日も明日も呑み込んで、激辛、炎、炎。

この危険な遊戯が、これこそがこの世に似合うのか。

 

f:id:inakakaoru:20201230231824p:plain人は、地獄ラーメンに何を求める。

ある者は、ただその日の糧のためにオーダーをする。

ある者は、理想のために己の手を赤いスープで染める。

またある者は、実りなき野心のために、辛みと痛みにまみれる。

静かにマスクをつける。

戦いは あきたのさ

そっとしておいてくれ

明日につながる 今日くらい
f:id:inakakaoru:20201229210744p:plain昨日も、今日も、明日も、アルコール消毒の噴霧に閉ざされて見えない。

だからこそ、切れぬ絆を求めて、褪せぬ愛を信じて求めて。

辛味への果てなき旅、次の地獄を、激辛を、愛を求め暗闇を彷徨う。

目の前に線路は続いている。

 

次回「スターバックス ハニーホイップ フラペチーノ」 

変わらぬ愛などあるのか。