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ドカッとドコ行こう

略して ドカドコ!

『オイル調べ』

 

"バイク乗りは五月の鯉の吹き流し 口先ばかりはらわたはなし"

なんてえまして、なんですかこれァ塩辛にもならないようですが、まぁ、バイク乗りの気性を申しましてね、なんだか小難しくて面倒くさいことを言うだけ言っちまうと、あとは案外さっぱりしている。腹の中にはなんにもない、チクワだかうまい棒みてえな気性だてえのが、この、バイク乗りだそうですな。

見た目はアレですが、あみだ池大黒の岩おこしみたいなもので、歯ざわりは手強いが甘い。なんてんで……

おいカヲル、ぼんやりしてるじゃあねえか。ええ?ウイニング競馬なんか見てねえで、オイル交換を始めるぞ。早く前掛けをして、準備したらどうだ。だらしがねえな、シャキッとしろい。

そうともよ、前掛けはバイク乗りの必需品よ。言ったら俺たちバイク乗りの戦闘服。野球選手のユニフォーム、漫才師のスーツ、OLさんの清楚系コーデみてえなもんだ。なあ。バイクといえば革ジャンより前掛けよ。

道具ゥ前掛けのドンブリに入れてあるから、サッサと着けてこっちに来い。

今日は一度に2台のオイル交換をするからな、マゴマゴしてんじゃねえぞ。

なんだ、そんなへっぴり腰でバイクを取り回すヤツがあるかよ。バイクってのはな、腕の力じゃなく腰で取り回すもんだ。そうすりゃ両手を離したってこう…まあ離しゃしねえけどよ。

おう、モタモタすんな。エンジンに火ィ入れとけ。抜けやすいように、オイルを温めとかなきゃ駄目だぜ。

アチチのチ!温め過ぎだァ。

なに?いい油(ゆ)だって?張り倒すぞ、この野郎。男塾名物‼油風呂じゃねえンだぞ、ンとにィ。

まったくしょうがねえ、いいか?オイルが緩ゥくなって、流れやすくなるくらいのぬる燗でいいんだよ、ぬる燗で。加減のわからねえ野郎だな。

待て待て、オイル抜き始めたばっかりで、そう車体をユサユサ揺らして無理に排出しようとするヤツがあるかよ。少しそこでジッとしてろ。

いいか、自分でオイル交換をする醍醐味ってのはな、こう古いオイルがタラタラ~タラタラ~…ツツゥ~とよ、自然に排出されるのを気が済むまで見てられるってトコよ。なあ。どうだ?こうしてオイルの流れを見てよ、ゆるやかにいくつも時代は過ぎて、ああオイルの流れのように、おだやかにこの身をまかせてい…だからユサユサするなってんだよ!

オイルストレーナーの洗浄にも取り掛かるか。おいカヲル、そこにある六角レンチをとってくれ。

なに?山地克明?どこの馬の骨だよ、そいつァ。俳優の六角精児の本名?ふーん、そうかい、あれァ芸名だったのか…おいっ。いいんだよ、日経ニュースプラス9のナレーターのヤツの話は。早く六角を…血液型はO型。高校三年時の国語の偏差値は17だった…ふーんなるほどなァ…だからいいんだってんだよっ。精児のことァ。

ストレーナーはあんまり汚れてねえな。へへ、こいつァありがたやまのホトトギス。おい、パークリ持ってきてくれ。

パークリだよ、早くしねえか。

だからパーツクリーナーのことだってんだよ。じれってえな、こちとらスピード自慢のバイク乗りだよ。長ったらしくパーツクリーナーなんか言ってりゃァな、温気の時分にゃァ言葉ァ腐っちまわァ。日の短けえ時分にゃァ日が暮れちまわい。

チェクリしかない?なんだい、そのチェクリってなぁ…チェーンクリーナー?変な縮めかたすんないっ。まァいいよ、そのチェクリでいいからよこせやい。

おう、表に宅急便の若ェもんが来たみてえだな。応対してきてくれ。

ああ、マスクは忘れずにな。前掛けの胸元に入れてあらァ。こんなご時世だ、お互い様だからな。

そういやァツーリングに出発して高速道路に乗り、マスクを忘れたことに気づいてすぐに地元のSAに入り、フルフェイスのまま店の外から店員さん呼んでマスクを購入したことがあったなァ。気持ちばかりのお礼にと地元のSAで地元のお土産を買って、その日は地元のお土産を背負ったままツーリングして地元に戻ったっけ。なんだったんだろうなァ、あれ。

もう一台もやっとくか。

ああ、今度はオイルの温度は丁度いいな。ぬる燗だよ。

"ぬる燗" ってのは日本酒の飲用温度でいう、40℃くらいに温められた燗酒のことをいうんだが、20℃くらいを "冷や"、50℃くらいを "熱燗" っていうんだ。その上の60℃くらいを "飛び切り燗"。下は10℃や5℃くらいを "花冷え" だの、"雪冷え" だのなんて、まったく昔の連中は風流なもんだな。

まァ、作業中に酒でこんなことするワケにもいかねえから、伊藤園ビタミンパワーGOでも飲みな。

丁度いい花冷えにしときましたよ、おまえさん。なんてな。

見ろよカヲル、あァあ、新しいオイルってのはやっぱりイイもんだなァ。

空冷エンジンってのはよ、オイル管理をしっかりやらなきゃならねえ。オイル管理は油温管理。オーバーヒートなんて、エキサイトバイクぐらいでしかお目に掛からねえと思ってるんだったら大間違いよ。

夏場の信号待ちで油温上昇、エンジン停止、バイクを日陰に移動させ、縁石に座り遠い目で幼少期に小川で流しちまったビーチサンダルの行方に思いを馳せる、なんて泣きの涙も現実にあるんだぜ。

そん時になって後悔しても、どうにも追いつかねえ。後の祭りよ。

だから油温が上がりにくく、油膜切れも起こしにくい、新しいオイルへ定期的に交換しなくちゃならねえ。わかったな。決して俺みてェになっちゃなんねえぞ。

待て待て、この野郎、オイルが派手に飛び散ってるじゃねえか。しょうがねェなあ、荒っぽく注ぎやがって。

先のトロトロの15W-50のつもりで、シャバシャバの5W-30のオイルを扱ったら駄目だぞ。粘度が違うんだよ、粘度が。広東麺と普通のラーメンのスープくらい違うんだぜ。ええ?

そうだ、広東麺だよ。ああ。なに?五目ラーメンじゃねえかって?そう呼んでいる店もあるな。ん?サンマーメン?あァ、あれは横浜生まれのラーメンで…

なんでラーメンの話をしてるんだよ!こん畜生ァ。まったく油断も隙もねえ野郎だ。口ィ動かしているヒマがあったら、手を動かしやがれ。ンとにィ。

よし、一通りの作業は済んだな。おう、ご苦労さん。

前掛けの左ポッケ、探ってみな。

まァ、遠慮すんな。甘いもんでも食べてよ、それから片付けに取り掛かればいいから。バイクの話でも聞くか?あァ…昔ィ4月くらいに富士山へツーリングに行った時によ、五合目の駐車場で雪がドンドン降ってきやがって…

なに?カントリーマアムが昔より小さくなった?そうなんだよ、今は一枚10gだが昔ァ11gもあってな、ファミリーサイズの量も30枚から20枚に…

【でも中華麺】新潟B級グルメ『イタリアン』って知ってる?

 

春を探しに行ったのです。

匂います匂います。

ありましたありました、フキノトウ

土の中からこんにちは。

手についた土の匂いも春の山。

場面はとつぜん山から海へ。

海を渡ってくる風が髪を撫でます。

ヘルメットでペッタンコ、だけど。

乗ってきたバイク、ジェベルの名は造語だそう。

山という意味のアラビア語 "JABAL" が由来みたい。

アラビアといえば、イタリア料理のアラビアータとはまったく関係ないのです。

アラビアータはイタリア語で「怒り」という意味のこと。

怒りなんて感情は、ホント~にムダばかり。

いつもニコニコ、笑顔でいたいものです。

防波堤の上でアラビアータじゃなく、新潟のB級グルメ『イタリアン』をいただきます。

中華麺にトマトソースが掛かった、ヘンテコな食べ物。

潮風の中、イタリアの優男二コラ・コンテのように格好つけてイタリアンを口に運ぶと、ここはもう港町キオッジャ。

でも中華麺。

そして爪のなかには春山の土。

ご愛嬌。

 


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