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ドカッとドコ行こう

略して ドカドコ!

【地獄ラーメン】柏崎『どさん娘 米山8号店』につき合ってもらう

 

f:id:inakakaoru:20201229205449p:plainラーメン。

たとえそれが、夢の中の出来事であろうと

思い出すのもおぞましい事がある。

まして、この身、この体に染みついたカプサイシンの臭いが

逃れられぬ過去を引き寄せる。

赤く塗られた過去を、見通せぬ明日を、切り開くのは力のみか。

f:id:inakakaoru:20201229205603p:plain海にまで出てもカヲルを待っていたのは、また地獄だった。

 

inakakaoru.hatenablog.com

 

丸子の地獄4丁目を走り抜けた戦慄が、今、柏崎に蘇る。

旨味の末に行き着いた果てしない辛味への欲望と暴力。

人とラーメンとの戦争が生み出したソドムの店。

f:id:inakakaoru:20201229205700p:plainここは柏崎『どさん娘 米山8号店』

地獄を見れば 心がかわく

看板と暖簾が発する、赤く巨大な引力が

柏崎界隈のきな臭い火種を吸い寄せる。

錯綜する "娘" の文字と "閻魔大王" のイラスト。

目に見えぬ無数の導火線に火が走る。

f:id:inakakaoru:20201229210141p:plain店に染みついたカプサイシンの臭いに惹かれて、危険な奴らが集まってくる。

牙を持たぬ者は生きてゆかれぬ欲望と秘密と暴力の店。

危険に向かうが本能か。

遥かな日本海の波間を走り、辛味という名の破壊の迷宮に曲折し、動乱の泥濘に揉まれてもなお、キラリと光る一筋の輝き。

奴らの眼は、まだ死んではいない。

それぞれの運命を担い、男たちが昂然と顔を上げる。

f:id:inakakaoru:20201229210239p:plainカレーラーメン¥ 」「バター入ラーメン¥ 」「塩ラーメン¥ 」

かつての値段が消えた看板たち。店を守る熱い思いを熱いスープにひた隠し、数多の戦いをくぐり抜けたラーメンたちの、まるで墓標。

客という名のカリギュラたちの、ギラつく欲望に晒されて、テーブルに引き出される柏崎の拳闘士。

ここはコロッセロ。

魂なきラーメンたちが、ただ己の生存を賭けて激突する。

f:id:inakakaoru:20201229222322p:plain当店おすすめ『地獄ミソラーメン』

忌まわしくも懐かしい、あの匂い、あの色が蘇る。

手繰り手繰られ、相寄る運命。

だが、この運命は何のために。

さだめとあれば 心をきめる

炎熱の柏崎に第2幕が開く。

f:id:inakakaoru:20201229222008p:plainまずは『1丁目ミソラーメン』(快適な辛さ)

快適という名の愛。しかし

愛の究極に、憎しみの究極に、ともに潜むのは殺意。

完全なる殺意は、もはや感情ではなく、冷徹なる意志。

それでは、米山8号店に潜みしものは、愛か、増悪か。

f:id:inakakaoru:20201229222120p:plain『3丁目ミソラーメン』(激辛)が姿を見せる。

赤、赤、赤。炎熱のジャングルが、狂気をはらむ。

それぞれの望み、それぞれの運命。

せめぎ合う欲望と、絡み合う縁。

こわばった指が、朱のレンゲが、赤いスープを口に運び、「ズズズ…」虚しい音を立てたとき

むせる

皮肉にも生の充足が魂を震わせ肉体に溢れる。

そして中央にそそり立つ、情無用、命無用の鷹の爪。

その爪が、秘密の扉をこじ開ける。

口中から吹き出る炎の向こうに待ち受ける、ゆらめく影は何だ。

ささやかな望み、芽生えた愛、絆、健気な野心、老いも若きも、男も女も、昨日も明日も呑み込んで、激辛、炎、炎。

この危険な遊戯が、これこそがこの世に似合うのか。

 

f:id:inakakaoru:20201230231824p:plain人は、地獄ラーメンに何を求める。

ある者は、ただその日の糧のためにオーダーをする。

ある者は、理想のために己の手を赤いスープで染める。

またある者は、実りなき野心のために、辛みと痛みにまみれる。

静かにマスクをつける。

戦いは あきたのさ

そっとしておいてくれ

明日につながる 今日くらい


f:id:inakakaoru:20201229210744p:plain昨日も、今日も、明日も、アルコール消毒の噴霧に閉ざされて見えない。

だからこそ、切れぬ絆を求めて、褪せぬ愛を信じて求めて。

辛味への果てなき旅、次の地獄を、激辛を、愛を求め暗闇を彷徨う。

目の前に線路は続いている。

 

次回「スターバックス ハニーホイップ フラペチーノ」 

変わらぬ愛などあるのか。

諏訪大社お隣『新鶴本店』で元祖 "塩羊羹" を手に入れろ‼

 

前回のあらすじ!

木曽谷の中心部、木曽福島にたどり着いた例のバイク2台。そこで「中乗(なかのり)さん」なる地元の英雄に、"物に乗る行為" とはなにか、"ライド・オンという名の人生" とはなにかを教えて貰う。

先程までとは目の輝きが違う二人は、手に入れた谷の酒『中乗さん』を背に木曽路をバイクで駆け抜ける。流れる風景の中、そう、きっとバイク界の "中乗さん" になると心に誓って。

さあ、次はなんだ。 次はドコ行こう!バイク界の中乗さんて一体なんなんだ⁉

inakakaoru.hatenablog.com

 

f:id:inakakaoru:20201212105002p:plain「なんです?バイク界の中乗さんて。荒川さん」

「ん?いったい何のことだい?カヲルくん」

 

・ちゃんこ?いえラーメンです

f:id:inakakaoru:20201212105223p:plain「もうこんな時間ですよ、荒川さん。お腹空きましたね~」

「そうだねぇ」

「時間です。待ったなし。塩尻場所の開催ですよ!」

塩尻市岡谷市の境にある塩尻峠(塩嶺峠)途中、ラーメンショップ 横綱さんでお昼をいただきましょう。

f:id:inakakaoru:20201212110130p:plain「しょうゆ…味噌…塩…どれも美味しそう!迷っちゃうなぁ…。何にします?」

「そうだねぇ…」

「?」

f:id:inakakaoru:20201212105751p:plain「どうしたんです?浮かない顔して。あ!荒川さん、ひょっとしてラーメンNGでした?子どもの時にラーメン屋に追いかけられたとか」

「どんな幼少期のフラッシュバックに悩まされているんだい、僕は。違うんだ、妻のお土産を何にしようか悩んでいてね…」

木曽福島で手に入れたお酒『中乗さん』でいいじゃないですか」

「妻は下戸なんだよ」

「ゲコ…青空球児…」

「それはゲロゲ~ロね」

f:id:inakakaoru:20201212110431p:plain「じゃあ私が購入した『木曽開田高原もろこしスープ』を譲りますよ。これ、甘くて美味しいんですよ~!…1個しかないけど…でも、ホントに美味しいんですよ~!…1個しかないけど」

「…カヲルくんのお土産をいただく訳にはいかないな。ありがとう、気持ちだけいただいておくよ」


f:id:inakakaoru:20201212105910p:plain荒川さんは元プロ野球選手の中村紀洋さんと『くまのプーさんホームランダービー!』をしながら互いの奥様のことで夜通し話し込み、そのまま朝を迎えるであろう程の恐妻家で知られますが

「妻は気に入らなければ、絶対一切合切金輪際使ってくれないからね…」

と誕生日のプレゼント選びだけでも、一晩で白髪になったマリー・アントワネットばりに心労を重ねているそう。

ともに白髪の生えるまで…白髪の量には夫婦で差が開きそうだけど、夫婦っていいな~!

f:id:inakakaoru:20201212110105p:plain来ました来ました。私が頼んだ『ネギ味噌ラーメン』です。

お味噌のイ~イ匂い!

f:id:inakakaoru:20201212110038p:plain荒川さんが頼んだ『しょうゆラーメン(大盛)』も来ましたよ。

「おや?大盛にした憶えはないけど…」

「私がオーダーしておきました…ズルズル…これから諏訪まで行くんですから、スタミナつけなくちゃ…モグモグ」

「諏訪?」

「良いお土産を思いついたんですよー!あ、その焼き海苔ください。パクッ」

 

f:id:inakakaoru:20210218223511p:plain塩尻峠を抜け、諏訪湖までやって来ました。

寒~いっ!

全国都道府県庁所在地の標高ランキングで第2位の甲府市は270mくらい。それをブッチギリで引き離しての第1位は長野市の約370m。ところが諏訪湖周辺の市町村ときたら諏訪市は760m、岡谷市は780m、茅野市に至っては800m!

高原の定義はおおむね標高600m以上と云われていますので、これは寒いワケです。

f:id:inakakaoru:20201212110936p:plain冬期に湖面は氷結しますが、全面氷結に至らない年もあります。温暖化の影響なのか、以前より氷も薄くなっているんですって。昔は氷上でスケートやワカサギの穴釣りも盛んに行われ、戦前は戦車の走行や飛行機の離着陸訓練…ってムチャし過ぎ!

でも、ホントに氷が厚かったんですねえ。

 

・塩羊羹の元祖

f:id:inakakaoru:20201212111410p:plainここは下諏訪町諏訪大社秋宮の隣にあります和菓子の老舗『新鶴本店(しんつるほんてん)』さん。

創業明治6年、初代が考案した『塩羊羹』で知られる名店であり、地元はもちろん県外からの来訪者も後を絶たない超人気店。今日も今日とてお客さんが列をなしています。

みなさま、静かに粛々と並んでいられます。

f:id:inakakaoru:20210327180958p:plain日本最古の神社の一つと数えられる信濃國一之宮 諏訪大社その聖域と同化した新鶴本店を前にすれば、訪れるものみな自然と居住まいを正す事になるのでしょう。

あぁ、心が洗われるよう…

f:id:inakakaoru:20201212111704p:plain「お邪魔しま~す」

ズドドドド!

ドカドカドカッ‼

f:id:inakakaoru:20201212111632p:plainドロドロドロドロッ…

「あれ?心なしか人が少なくなったような…」

「カヲルくーん、駐車場はこっちだよー」

これは失礼しました。お店の対面にちゃんと駐車場がありますから、いますぐ押して移動します。

ヨイショ、ヨイショ…

f:id:inakakaoru:20201212112107p:plainこの歴史を感じさせる店内の造作も、レトロな陳列ケースも、差し込む西日の光彩も、すごく味わい深いです。う~ん、ステキ…でも

「塩羊羹くださーい!今すぐくださーい!マッハでくださーい!」 

「すみません、この子お腹が空き過ぎてて…ああ、僕も同じものを一つ」

人気で売り切れてしまう事もある、名代の塩羊羹を無事に手に入れましたよー!

f:id:inakakaoru:20210327181253p:plain「よかったですね、荒川さん。これなら奥様もきっと喜ばれますよ。『上品な甘さが上品なキミにそっくりだ』とかなんとか言えばさらに良いと思われます」

「ああ、妻も喜ぶよ。ありがとう」

「『砂糖と塩、一見相容れないモノほど、一緒になれば驚くようなケミストリーを起こす事だってあるのさ。まるでキミとボクの奇跡ように』とかなんとか言えばさらに…」

「ハハハ。さあ、もう帰路に就こう。助かったよ」

 

・他の追従は許さない羊羹界のレジェンド

f:id:inakakaoru:20201212112424p:plainさて、帰宅後にさっそく名代の塩羊羹をいただくコトとしましょう。

防腐剤等を一切使っていない、まさに生ものですから、美味しいものは美味しいうちに。

夏場は5日、それ以外の季節は7日間が賞味期限とされていますよ。

f:id:inakakaoru:20201212112227p:plainジャ~ン!

羊羹の包装なのに、この重々しさ。新鶴の前に道なし 新鶴の後に道できる "塩羊羹元祖" の風格が漂っています。なんだかご利益ありそう。

購入サイズは小、中、大とあり、これはサイズ(5×15㎝)の小。ちなみに特大は箱入りで(30×25㎝)とパーリィーサイズ!買うなら車で行かなくちゃ。

f:id:inakakaoru:20201212112341p:plainしかしこれ、掛け値なしに美味しいですよ…

甘さと塩加減の調和、歯切れと舌触り、何よりもう一口という後引きが凄まじく、羊羹界の中でもちょっと図抜けています。まさに無限羊羹です‼

厳選された小豆と地元の寒天を用い、創業以来変わらず楢の薪を焚いて職人さんが練り上げる手作りの一品。敬意を持って、口に運ばなければ…

ちなみに羊羹表面の綺麗な波模様はもともとの仕様ですが、断面の縦線はというとですね

f:id:inakakaoru:20201227013056p:plainチーズナイフで押し切ったら付いちゃったモノなのでしたー‼

たいへん失礼をば致しました~!